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“東大合格者数No.1”あの開成高が競泳メドレーリレーで「インターハイ出場」の衝撃…日本屈指の進学校に「奇跡のカルテット」が集った青春ウラ話
posted2025/09/11 11:03
開成からは史上初となるメドレーリレーでインターハイに出場した4人のスイマーたち。「奇跡のカルテット」はいかにして揃ったのか
text by

別府響Hibiki Beppu
photograph by
開成高校水泳部提供
「開成、ヤバくない?」「開成って……本当に“あの”開成?」
2025年の7月下旬のことである。埼玉県で行われた高校競泳の関東大会で、ちょっとした「事件」が起こった。
といっても特筆すべき記録が出たわけでも、なにかトラブルがあったわけでもない。
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騒動の震源は、日本で最も多い東大合格者を輩出する、全国でもトップ進学校の開成(東京)が同校史上初となるメドレーリレーでのインターハイ出場を決めたことだった。
「いやもう本当に……奇跡が起きたなという感じで。別に関東大会、インターハイを目指しているような部活ではないですから」
同校水泳部顧問の吉野修司は、そんな風に苦笑する。
喜ぼうにも関東大会に来ていたのは吉野以外に出場選手4人だけ。当然、スタンドには吉野しか残っていなかった。レースが終わると吉野は、一人で小さくガッツポーズを作っていた。
もちろん基本は個人競技の競泳である。
仮に開成のような入学難易度の高い超進学校であっても、個の選手で全国レベルに達することはこれまでも稀にあった。だが、今回はメドレーリレーである。
「メドレーリレーで全国」の難しさ
背泳ぎ→平泳ぎ→バタフライ→自由形と、異なる4つの泳法を繋ぐため、特性の違う各選手がそれぞれ全国クラスの力がなければインターハイに駒を進めることは難しい。しかもただでさえ激戦の都大会を抜けなければ、関東大会に出場することすらできない。
そんな高いハードルを「あの開成」が、しかも1、2年生だけのメンバーで越えて見せたのである。
昨年の東大合格者数は実に150人。偏差値で言えば異次元の77。一般的には入学することすら難しい日本トップ進学校のスイマーたちは、いかにして「奇跡の全国」に辿り着いたのだろうか?

