テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「ハハ、わからないです」大谷翔平が苦笑いのTikToker直撃取材…カオスすぎたワールドシリーズ前日ウラ話「WBCでも対戦ロイヤルズ主砲まで」
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byCole Burston/Getty Images
posted2025/11/21 06:01
ワールドシリーズ前日会見での大谷翔平。数多くのメディアが駆けつけてカオス状態だったという
開始時間に扉が開くと、一目散に大谷のブースを探し駆け寄ったが、既にスタートしていたのは、大リーグ公式サイトのSNS班やオフィシャルでもなく……TikTokerの取材だった。
「なぜ?」と、疑問が頭をよぎったが、こんな状況も“あるある”。文句を言っても仕方ないと割り切るしかない。私は大谷の真横を確保していたニューヨーク・ポスト紙のジョン・ヘイマン記者の後方2列目を確保できたが、あっという間に何重もの報道陣の輪ができていた。
TikTokerの質問に「ハハ、わからないです」
この現場が、大谷の取材史上最大の“カオス”だった。
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報道陣が多すぎて身動きが全く取れない状況で、ブルージェイズメディアや普段スポーツ現場には来ないカナダの報道メディアが矢継ぎ早に質問していた。多くが2023年オフの大谷のFA移籍騒動に関するもの。「トロントに戻ってきて感じることは?」「ブルージェイズは移籍先の最終候補だった?」などの質問が飛び交った。
当時、大谷との面談に同席したジョン・シュナイダー監督がこの日の会見で「我々との面談で持って帰ったブルージェイズの帽子とデコピン用のジャケットをそろそろ返してくれたらいいんだけどね」と冗談めかして話していた。その話題を振られた大谷は「うちのガレージにあります。大事に取っておきます」と笑い、「素晴らしいチームという印象。こういう舞台で対戦できるのは素晴らしいこと」と敬意も示した。
あるTikTokerからは「ケンドリック・ラマーとドレイクの音楽で一番好きな曲は?」と互いの地元を出身地(それぞれロサンゼルス近郊とトロント出身)とする人気ラッパーに関する質問も飛び、大谷は「音楽はあまり詳しくないので、ハハ。分からないです」と苦笑いするしかなかった。
もちろん、興味深い大谷とのやり取りもあった
その中には興味深いやり取りもあった。
32年ぶりのWSを迎える敵地トロントでは大ブーイングが予想されるが「それをまた力に変えていこうかなと思う」と力強く返答。さらに昨秋のWSは第2戦の盗塁で左肩を脱臼した影響で本来の力を発揮できなかったことについて、「去年は(検査などで)チームのみんなと一緒に遠征に行けなかった。今年はまた新たな経験」と言った。
その視線は、連覇だけに真っすぐと向いていた。
米メディアの1人が「ナ・リーグ優勝決定シリーズMVPのトロフィーをクラブハウスに置いた理由」を問いかけると、大谷はこう回答した。

