テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「うーん…」大谷翔平がWS前日、“佐々木麟太郎ドラ1指名”を聞かれて率直な反応「やりとりはしていた」“花巻東の後輩”を温かく見守っていた
posted2025/11/21 06:02
ワールドシリーズ前日会見での大谷翔平。その後の打撃練習では驚愕のバッティングを見せていた
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
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Naoyuki Yanagihara
なんで僕に対して剛速球を投げるの?
ワールドシリーズ(WS)前日に開催された「メディアデー」、大谷翔平のもとには数多くのメディアが駆けつけ、“カオス”とも表現できる状態だったが――その中の1人に、特派員として来場していたのが、ロイヤルズの主砲ビンセント・パスクアンティノである。
「投手・大谷」とパスクアンティノは2023年のWBC準々決勝・イタリア戦で初対戦し、渡米後最速102マイル(約164.1キロ)で空振り三振に仕留め、今年6月28日の対戦では、公式戦メジャー移籍後最速101.7マイル(約163.6キロ)で二ゴロ併殺打に仕留めていた。
当時、パスクアンティノは試合後に「最も速い2球を俺に投げてきた。何の恨みがあるんだ? “なんで俺にばかり速い球を投げるの”、“俺のことを嫌っているのか”って聞いたか?」と報道陣に逆質問していた。そんな経緯もあって、パスクアンティノはこう切り出した。
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「なぜ僕に対して剛速球を投げるの? 僕のことが嫌い?」
これに対して大谷は「素晴らしい打者なので」と苦笑い。パスクアンティノは「あれは良くない。速すぎるよ」と返し、場を和ませた。大谷も過去の記事を認識していたのか、2人のやり取りはほほ笑ましかった。
ブルージェイズ剛腕への印象、そして佐々木麟太郎
普段のように米メディア→日本メディアと仕切る広報が会見中盤まで不在だったことも、前日会見が“カオス”となった要因だった。会見開始7分半後、米メディアの質問が15個続いたところで、日本メディアの流れに引き込むべく、意を決して「初戦の相手先発のトレイ・イエサベージの印象と対策は?」と聞いた。試合後のように限られた質問数の会見ではないため、本来は野球以外の質問も投げ込みたかったが、ここまでの流れがあまりにも野球から掛け離れていたので、急きょ方針を転換した。
大谷は「軌道というか投げ方も含めて独特ではあると思うので、それがどういう風に自分の中で見えるのかなというのが一番かなとは思うので。何回も対戦している投手だったら軌道も含めて慣れていると思いますけど、まず第1打席からそういう確認が大事かなと思います」と答えた。初対戦となるイエサベージの映像やデータは当然、頭に入っているようだった。

