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「率直に何の実りもない」「日本の弱点は明らか」ガーナ戦快勝に“辛辣”トルシエ元代表監督がズバリ「ミナミノもナカムラもドウアンも…だ」
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/11/17 17:03
南野拓実や中村敬斗らの活躍もあってガーナ戦は快勝に見えた日本代表。しかしトルシエ元監督は“辛辣評価”だったという。一体なぜ?
オートマティズムの欠如は明らかで、問題は中盤にあったと思っている。ボールの回収に問題はなかった。佐野海舟は頻繁にボールを奪ったが、攻撃面で先制点以外の場面はクオリティを欠いて十分ではなかった。何より3人のセンターバック(鈴木淳之介と谷口彰悟、渡辺剛)が、日本のボールになったときにキッチリとプレーしているとは言い難かった。鈴木も渡辺も、攻撃面では何ももたらさなかった。プレーのほとんどは久保建英と南野拓実、中村、堂安が頼りで、彼らが積極性を欠いたときには、日本の攻撃はうまく機能しなかった」
ブラジル戦がそうだが…日本はリアクションの方が
――ブラジル戦のパフォーマンスとはまったく異なっていたのですね。
「ブラジル戦の日本はリアクションのサッカーだった。ボールを支配されたので、日本は守備面での規律の高さと強い連帯感を発揮した。攻撃はリアクションだがそこには強いモチベーションがあった。結局のところ日本は、リアクションサッカーを実践したときのほうが強さを発揮する。
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だがガーナ戦では、日本がボールを保持して、自分たちで攻撃をコントロールしなければならなかった。その状況になったときに、日本は十分に対応できるクオリティを持ってはおらず、この試合でも何も見せられなかった。堂安や中村も……久保でさえも後半は消えていた。南野はヒールパスを披露し、堂安も同じことをしたが、彼らは自分たちのプレーに満足しているように見えた。何の抵抗も見せない弱い相手との簡単な試合で、ちょっと自分を過信しているように映った。
唯一のポジティブなものは若い選手・新しい選手を起用できたことだけだった。藤田譲瑠チマを見ることができたのは、私には大きな喜びだった。彼はとても興味深く、僅か20分強のプレーでもいろいろなことを彼から感じた。また佐藤龍之介もよかった。渡辺や谷口、鈴木は静かなプレーに終始した」
ドウアンもナカムラもミナミノもイージーだった
――確かに、低調だったガーナのパフォーマンスに引っ張られた部分もあるかもしれません。
「この手の試合では、チームがよりよいプレーをするために、戦術的にも技術的にも全員がパフォーマンスを発揮することが求められる。プレーのクオリティが重要になるが、自分たちよりも弱い相手に対して、日本が見せたのは別のものだった。求められていたものは、何も発揮できなかった。

