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「率直に何の実りもない」「日本の弱点は明らか」ガーナ戦快勝に“辛辣”トルシエ元代表監督がズバリ「ミナミノもナカムラもドウアンも…だ」
posted2025/11/17 17:03
南野拓実や中村敬斗らの活躍もあってガーナ戦は快勝に見えた日本代表。しかしトルシエ元監督は“辛辣評価”だったという。一体なぜ?
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kiichi Matsumoto
10月の上旬に来日したフィリップ・トルシエは、今も日本滞在を続けている。先月は日本代表対ブラジル戦の観戦に東京スタジアムを訪れ、この後はボリビア戦を見に国立競技場へと赴く。大阪と豊田でおこなわれた2試合、パラグアイ戦とガーナ戦は、ホテルでのテレビ観戦となったのだった。
11月14日のガーナ戦、日本は2−0と快勝した。ほぼ無抵抗なガーナに、アグレッシブに牙を剥くことなく順当に勝利を収めた日本を、トルシエはどう見たのか。果たして日本は、先月のパラグアイ戦、ブラジル戦からさらなる進化を遂げたのか。トルシエインタビューを前後2回に分けてお届けする。まずはその前編から。〈全2回/第2回に続く〉
何も実りもない…日本の弱点が明らかに
――試合は見ましたよね。
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「率直に言って何の実りもない試合だった」
――それはガーナが消極的だったからですか。
「日本がゲームを支配したと言うことはできる。戦術的に攻撃する意志も得点する意志もないチームに対してだ。攻撃の局面において彼らの動きはまったく不十分だった。日本は高い位置にブロックを敷き、ボールに対してプレスをかけ、その結果、幾度となくボールを奪い取った。というのもガーナには何の連係もなかったからだ。
日本は簡単にボールを奪った。しかし日本もまた連係を欠き、選手の動きも少なかった。攻撃も中央に偏っていた。せっかくボールを支配しながら、不用意なプレーで簡単に失ってうまく活用ができなかった。オートマティズムの欠如は明らかで、今日の先発メンバーにはコレクティブで成熟した、精度の高いマシンのようなプレーを期待したが——期待外れに終わった。中村敬斗も堂安律も影が薄く、日本はちょっと自己満足してしまっているように私には見えた。あまりに簡単な試合だったからチャレンジは何もなく、得るものがある試合でもなかった。
言いたいのは、プレーをしようとしないチームに対して、日本は多くの問題を露呈する」
オートマティズムの欠如は明らかだ
――そうかもしれません。
「得るものの無い試合で、唯一の収穫は選手を試せたことぐらいかも知れない。若い選手たちがプレーの機会を得た。しかし彼らとて確かな手応えが掴めたわけではなく、勝利とそれに伴う自信以外に得たものは何もなかった。
それはこの試合がラボ(実験室)になっていなかったからだ。

