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「日本代表は少し“うぬぼれた”」「個の力を見せたクボだが平均的」トルシエ元監督が愛の苦言で戒め…「唯一の例外。面白かった」2人のMFとは
posted2025/11/17 17:04
2−0で勝利したガーナ戦、トルシエ元監督の評価は厳しかったが、愛ある苦言なのかもしれない
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kiichi Matsumoto
フィリップ・トルシエインタビューの後編である。〈全2回/第1回からつづく〉
ガーナ戦について辛辣に批評するトルシエの言葉を聞きながら、思い出したのは2000年にレバノンで行なわれたアジアカップだった。AFCからアジアカップ史上最強チームの評価を受け、圧倒的な強さを発揮して日本は優勝したが、その大会途中でもトルシエは指揮の手綱を緩めなかった。
ある練習の後、キャプテンの森岡隆三が、トルシエへの怒りを露わにスパイクを脱ぎ、地面に思い切り叩きつけながらピッチを去ったことがあった。また大会中の前日会見でトルシエは、「もしかしたら自分はこの後、辞任するかもしれない」と爆弾発言を口にした。聞いていたメディア誰もが狐につままれたような表情で反応に困っていたが、どちらも楽勝ムードを戒めるため、トルシエ流の気の引き締め方だった。
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恐らくトルシエは、ガーナ戦でも同じような空気を感じたのだろう。日本はガーナ相手にアグレッシブさを発揮できなかった。それでは個々の選手はどうだったのか。トルシエの言葉は続く。
日本が奪ったというよりもガーナが…
――選手についてはどう見ていますか。
「佐野海舟は守備に関しては良かった。だが攻撃では、ボランチ2人とディフェンダー3人のプレーはあまりにシンプルで、パス・コントロールだけに終始した。本来ならば彼らが効果的に攻撃に加わって、プラスアルファをもたらさねばならなかった。もっと渡辺剛は攻撃参加すべきだったし、鈴木淳之介もそうだ。
ブラジル戦からは後退したが、それは対戦相手によるものだった。ガーナはまったく何もしなかった。それに合わせるかのように、日本も静かなままだった。簡単にボールを奪ったが、日本はプレスさえも少し遅れ気味だった。
それでもガーナは簡単にボールを失った。日本がボールを奪ったというよりも、ガーナが日本にボールを与えた。日本は高い位置からプレスをかけようとはしていた。ガーナはそのために息詰まり、プレスをかいくぐることができなかった。結果として日本は数多くボールを奪ったが、その先の攻撃が中央に偏り過ぎた」
ブラジル戦のナカムラやドウアンが必要だった
――奪った後の攻撃のバリエーションが気になりましたか。

