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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「負けも受け入れられる覚悟はあるよって」那須川天心が井上拓真との決戦を前に語った発言の真意「いかに相手を混乱させられるか、でしょうね」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/11/15 11:03
井上拓真とのWBC世界バンタム級王座決定戦を前にその心境を明かした那須川天心
「自分を見てくれる人の心が少しでも豊かになってほしいんですよね。次の日、頑張れるとか、日々の生活においてちょっとでもいい影響を与えられたらうれしいですよね。そういう存在になっていきたい。僕のことをあんまり良く思っていないボクシングファンも、何だかんだ言って、コイツ面白いなって、敵か味方か分からねえなって(笑)。
僕自身、人生は格闘技だと思っています。格闘技を通じてどういうふうに生きていくか。その生き方を見せていかなきゃいけない。まあ、いつかどこかで負けることだってあると思うんですよ。そう言うと(負けたときの)言い訳みたいな見方をされるかもしれないけど、まったくそうじゃないんですよね。僕からすれば器の話。負けて“あーあ”じゃなくて、そこも受け入れられる覚悟はあるよって。だから勝てるっていうのがあるんです」
自分の格闘技のエッセンスをぶつけたい
かつて自分のあるべき姿として「ちゃんとした異物でありたい」と語ったことがある。ボクシングの世界をきちんとリスペクトしたうえで高みを目指していくとともに、ボクシングの外からやってきた者としての使命もある。
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「僕が扉を開けてみて、これまでボクシングに関心がなかった人も見てくれている。当然、元々のボクシングファンもたくさんいて、拓真選手、そして尚弥選手と井上兄弟ってファンなら誰でも知っている。そこの交わる構図というのが面白いと思うんですよね。ボクシングって純粋に格闘技だけを楽しめる競技というか、やっぱり凄い。だからこそ自分がやってきた格闘技のエッセンスをすべてぶつけたい」
最後に、試合のポイントを聞いた。
「いかに相手を混乱させられるか、でしょうね」
会見で語った「幽霊を見せたい」が那須川にとってはカギを握るということか。「かんきもラジオ」も4日まで生出演し、これから最終調整に入っていくという。
11月24日、トヨタアリーナ東京。
私生活まで真剣勝負を続ける那須川天心で、大一番に向かう。
<前編から続く>

