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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「これが井上拓真のボクシング」井上拓真がいま明かす那須川天心戦の真相「不安要素は一つもなかった…これだけやったんだから負けるわけないだろって」
posted2026/02/11 17:00
那須川天心とのWBC世界バンタム級王座決定戦に勝利した井上拓真が、注目の一戦の舞台裏を明かしたインタビュー(前編)
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
父の存在なくしては語れない“強い井上拓真”
井上拓真は今、バンタム級の世界の中心にいる。
昨年11月、那須川天心とのWBC世界バンタム級王座決定戦に3-0判定勝ちで緑のベルトを手にすると、バンタム級に転級した4階級制覇の井岡一翔から対戦を熱望された。井岡戦のみならず、ノニト・ドネアに勝利したWBA王者・堤聖也へのリベンジにも意欲を燃やしており、2026年のバンタム級戦線は彼の動向から目を離すことができない。
天心戦を終えた後のオフは10日間のみ。次のミッションに向けて大橋ボクシングジムで熱のこもったトレーニングに励んでいる。大きなトピックとしてはWBC年間表彰において2025年に4度の防衛に成功した4団体統一世界スーパーバンタム級王者の兄・尚弥が年間最優秀選手に選ばれるとともに、兄弟を指導する父の真吾トレーナーが年間最優秀トレーナーに選ばれたことだ。拓真の勝利も評価されての受賞である。
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拓真は表情を崩して言った。
「トレーナーにも贈られるベルトがあって、ナオの試合で父がもらったことがあったんです。いつか自分もあげたいと思っていて、今回(天心戦に)勝ってそれができた。ちょっとした自分の目標でもあったんで、それが良かったなって思っています」
強い井上拓真を取り戻すことができたのは、父の存在なくして語れない。天心戦に勝利した控室への帰路、「父のおかげ」と感謝を口にする姿がアマゾンプライムのドキュメント番組で流れていた。
試合のオファーがあったとき「やりたい」と即答して決まったものの、父は当初、賛成の立場ではなかった。父からハッキリと言われたことがあった。
「負けはもう許されない以上、気持ちのズレがちょっとでもあったらいけない。気持ちが同じにならないと、もう一緒にできない、と」
これだけやったんだから負けるわけないだろ
堤との一戦は100%の自分をつくれずに王座から陥落した。父が求めるものからしたら気持ちも練習量も全然足りていなかった。拓真もそのことは理解していた。リミッターを外さなければ、勝利は手にできないのだと覚悟した。
同じ気持ち――。朝のロードワークに、父も自転車でついてきた。合宿以外となるとプロになってから「記憶にない」ことだった。

