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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「負けも受け入れられる覚悟はあるよって」那須川天心が井上拓真との決戦を前に語った発言の真意「いかに相手を混乱させられるか、でしょうね」
posted2025/11/15 11:03
井上拓真とのWBC世界バンタム級王座決定戦を前にその心境を明かした那須川天心
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Shigeki Yamamoto
対策らしい対策はやってない
熱のこもったスパーリングが続く。
11月24日のWBC世界バンタム級王座決定戦に向けて1位・那須川天心はタイプの違う5人のメキシカンを相手にしている。そのなかの一人が、那須川と将来的な対戦がクローズアップされていた武居由樹(大橋)を4回TKOで下してWBO世界バンタム級新王者となった強打で鳴るクリスチャン・メディナ(メキシコ)である。
これまでも那須川のスパーリングパートナーとして来日しているが、2位・井上拓真(大橋)との世界戦に臨む那須川のために自ら志願したという。直近のビクトル・サンティリャン戦(6月8日)における接近戦の攻防で力強さを示せたのも、前に出てプレッシャーをバンバン掛けてくるスタイルのメディナとのスパーリングが大きかった。
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那須川は言う。
「チスパ(メディナの愛称)は自分のことを本当に強くしてくれる存在。僕はプレッシャーを掛けてくるタイプと、チスパはサウスポーと(戦う)感覚を積みたかったので、一緒にやるようになって、そのなかでお互いに強くなってきた。だってスパー、めちゃめちゃハードですから(笑)。あんまり格闘技をやるなかで友達みたいな存在はそんなにいないけど、チスパは友達。僕が世界タイトルをやると聞いて協力したいと言ってくれて(日本に)来てくれた。彼にはホント、感謝しています。
今回、拓真選手がどうやってきそうとか、対策らしい対策は別にやってない。パートナーのタイプがみんな違うので、どんな展開になっても大丈夫なように用意しておく。それに今日うまくできたからいいっていうわけじゃない。なぜそうできるのかしっかり分かっていないとズレちゃいますから。チームにはプラスのことよりもむしろマイナスのことを言ってもらうことが多い。だからマイナスを引いていく作業をやっている感じなんですよね。毎回のスパーリングで少しでも精度を上げるようにやっています」
マイナスを引いていく感覚
マイナスを間引いていく感覚で一つひとつを丁寧に自分のなかに落とし込もうとする。好感触の背景にあるものまでつかめなければ那須川にとって意味がない。
対サウスポーが苦手なのは明らかであったメディナが武居を破った試合を見て、確証を得ることができたという。

