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「彼はべシアとチームメイトだったのか?」ドジャース“不在の救援左腕”の背番号を対戦相手が「帽子に書いた」ワケは?「人生が野球より大きなものと…」
posted2025/11/09 17:01
ドジャースの中継ぎとして活躍したアレックス・ベシアだがWSは「家庭の重大な問題」で欠場。後に愛娘が亡くなっていたことを報告した
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一野洋Hiroshi Ichino
photograph by
Getty Images
大熱戦だったワールドシリーズの陰で、静かに紡がれていた物語がある。
ロサンゼルス・ドジャースの救援左腕、アレックス・べシアが「家庭の重大な問題」によりシリーズ前にチームを離脱した。ドジャースはシリーズ開幕前の10月23日(日本時間24日)にその旨を公表し、以降、べシアと妻ケイラのプライバシーに最大限の配慮を求める姿勢を貫いた。
べシアは今季68試合に登板し、防御率3.02。短期決戦のポストシーズンでも7登板で2勝と、ドジャースのブルペンにとって欠かせない左腕だった。その不在はブルペンの計算を狂わせたが、同時に「彼のために戦う」という芯をチームにもたらした。
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結果としてリリーフ左腕は大舞台で一球も投げることはなかったが、彼は球場に確かに“存在”した。
ベシアの背番号を「帽子に刺繍」
ドジャースの救援陣が、べシアの背番号「51」を刺繍した帽子を着用して登板したのだ。チームがトロントでの最初の2試合を終えてロサンゼルスに戻ると、ドジャースの救援陣は全員、帽子のワールドシリーズロゴ横に「51」を刺繍した。
誰の発案かは明かされていないが、ブルペンの全員が同じ思いで臨んだ。偶然にも第3戦では、延長18回という歴史的な長期戦だったこともあり、登録されていた9人のリリーバー全員が登板し、それを披露するには絶好のタイミングとなった。
そして、その輪は期せずしてドジャースというチームの外へも広がっていった。

