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「彼はべシアとチームメイトだったのか?」ドジャース“不在の救援左腕”の背番号を対戦相手が「帽子に書いた」ワケは?「人生が野球より大きなものと…」 

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一野洋

一野洋Hiroshi Ichino

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posted2025/11/09 17:01

「彼はべシアとチームメイトだったのか?」ドジャース“不在の救援左腕”の背番号を対戦相手が「帽子に書いた」ワケは?「人生が野球より大きなものと…」<Number Web> photograph by Getty Images

ドジャースの中継ぎとして活躍したアレックス・ベシアだがWSは「家庭の重大な問題」で欠場。後に愛娘が亡くなっていたことを報告した

「うちのチームは本当にいい人間がそろっている」

 ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督も、この“帽子のメッセージ”を巡る出来事に深く胸を打たれた一人だった。監督自身はこのアイデアに関与していなかったが、選手たちの自主的な行動を誇りに思っていると語っている。

「うちのチームには本当にいい人間たちがそろっている。夫であり、父親であり、そうした立場を持ちながら、私たちの仕事やそこに伴う苦労を理解している人たちだ。

 ドジャースにもベテランの選手たちが多くいて、みんなが野球という競技を尊重し、どうプレーすべきかを理解している。これは“帽子を取って称える”ような素敵な行動だよ――駄洒落のつもりじゃないけどね」

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 相手チームへのリスペクトと、自軍への誇り。その両方を軽やかに口にできる指揮官の言葉が、このシリーズ全体を包み込む温度を象徴していた。

 シリーズ後、ブルージェイズのロッカールームには一貫して“結束”の声が響いていた。ジョン・シュナイダー監督は「勝つチャンスはあったが、この戦い方を誇りに思う」と語り、敗戦の失意の中でも選手の姿勢に胸を張った。

 アーニー・クレメントは「この仲間たちが本当に大好きなんだ」と涙し、ウラディミール・ゲレーロJr.も「みんなの仕事をどれだけ誇りに思っているかを伝えた。これ以上誇れるチームメイトはいない」と語った。

 選手の家族たちもSNSで「このチームには本当に良い人たちが集まっている」と投稿している。誰も責任を他に求めず、ただ“このグループ”を誇る。その姿勢こそが、敗れてなお「ブルージェイズはいいチームだ」と評された理由だった。

【次ページ】 ドジャースの強さ以上に…試合に見えた「品格」

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