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「彼はべシアとチームメイトだったのか?」ドジャース“不在の救援左腕”の背番号を対戦相手が「帽子に書いた」ワケは?「人生が野球より大きなものと…」 

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一野洋

一野洋Hiroshi Ichino

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posted2025/11/09 17:01

「彼はべシアとチームメイトだったのか?」ドジャース“不在の救援左腕”の背番号を対戦相手が「帽子に書いた」ワケは?「人生が野球より大きなものと…」<Number Web> photograph by Getty Images

ドジャースの中継ぎとして活躍したアレックス・ベシアだがWSは「家庭の重大な問題」で欠場。後に愛娘が亡くなっていたことを報告した

 そんなチームだからこそ、相手チームの苦境にも自然と寄り添うことができたのだろう。帽子の「51」に込められた思いやりも、ブルージェイズというチームの気質をそのまま映していた。

『ESPN』もMLB公式サイトも、ブルージェイズ救援陣のべシアへの連帯を伝え、写真とともに選手名も記した。世界一を争う対戦の真っ只中で、しかも相手の戦力に直結する選手へのエールを視覚化する。そこに打算は見当たらない。「球界全体で困難に向き合う選手とその家族を包み込む」という価値観が、トロントにもロサンゼルスにも等しく根づいていた。

 ドジャースは11月6日(日本時間7日)、ベシアとの球団オプションを行使したと発表。365万ドル(約5億5800万円)での契約更新となった。そして、その翌日――べシアは自身のインスタグラムを更新。10月26日に第1子である愛娘が亡くなっていたことを公表した。

ドジャースの強さ以上に…試合に見えた「品格」

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 ワールドシリーズの2連覇で、ドジャースの強さが証明された結果となった。

 だが、このシリーズでより強くファンの心を打ったのは、強さの周りに集まる「態度」だった。数字で測れない品格は、スタッツの行間に宿る。

 べシアのいないブルペンを回しきったロバーツ監督の戦術、延長戦での深呼吸、そしてブルージェイズが書いた「51」。野球は勝敗を競うゲームだが、同時に誰かの人生と並走する時間でもある。あの夜の「51」は、ロサンゼルスの勝利とトロントの誇りを同じ強さで照らしていた。

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