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「惨敗です。選手の思いを尊重しすぎた」全日本大学駅伝4位・国学院大の誤算とは? わかっていて“逆にした”配置を悔やむ監督「私の読みが甘い」
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byTadashi Hosoda
posted2025/11/04 11:05
出雲駅伝に続く大学三大駅伝連勝を狙った国学院大だが、全日本大学駅伝は4位に終わり、アンカー上原は倒れ込んだ。何が起きていたのか? 重なった誤算に迫った
そんなに甘くない
前田監督の頭の中でも、3区で先頭に立ち、単独走が得意な高山の4区でリードを広げるつもりだった。三大駅伝に初出走する2年生コンビの5区・飯國新太、6区・浅野結太には伸び伸びとトップを走ってもらい、7区までに少しでも貯金をつくる。たとえ、最終区間までに並ばれても、“アンカー勝負”で粘って勝つという算段を立てていた。空転したプランを口にすると、ふと苦笑を漏らした。
「そんなに甘くないですね」
優勝が遠のいたのは、前回大会で国学院が流れを変えた5区。一般的に“つなぎ区間”とも言われるものの、昨年は野中が区間賞の快走を見せてチームを勢いに乗せている。皮肉にも今回はライバルにしてやられた。区間新の区間賞を獲得した駒澤大の伊藤蒼唯に後ろから一気に追い上げられ、飯國も見送るしかできなかった。指揮官は練習から力を示す2年生の可能性を信じているだけに、あえて厳しい目を向ける。
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「デビュー戦であの展開はきつかったと思いますけど、飯國ならもっと走れた。それくらい期待しているし、力を持っている。結果は区間2位なんですけどね。今回は5区で決定打を打たれているので。こっちの“手”を逆にやられました。藤田敦史さん(駒澤大監督)は『対国学院』のシフトも敷いていたのかなと」
頼みの4年生コンビもペースダウン
5区終了時点でトップの駒澤大とは52秒差の2位。気づけば後ろの中央大にも迫られ、6区では3位に後退した。挽回を託された7区、8区の4年生コンビの青木、上原まで苦しんだ。
各大学のエースらが集う長距離区間で2人ともに差し込み(脇腹痛)に襲われ、途中から表情を歪めてペースダウン。後味の悪さを残したまま、最後の伊勢路を終えた。2年連続でアンカーを任されたキャプテンの上原は沈痛な面持ちで、4位の現実と向き合っていた。

