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「惨敗です。選手の思いを尊重しすぎた」全日本大学駅伝4位・国学院大の誤算とは? わかっていて“逆にした”配置を悔やむ監督「私の読みが甘い」
posted2025/11/04 11:05
出雲駅伝に続く大学三大駅伝連勝を狙った国学院大だが、全日本大学駅伝は4位に終わり、アンカー上原は倒れ込んだ。何が起きていたのか? 重なった誤算に迫った
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Tadashi Hosoda
フィニッシュテープを切った主将の上原琉翔は意気消沈する仲間に肩を抱えられて何度も悔し涙を拭い、前田康弘監督は険しい表情で唇をかんだ。10月の出雲駅伝に続き、11月の全日本大学駅伝でも2連覇を狙った国学院大。新興校と呼ばれたのも今は昔、伊勢路で表彰台を逃すのは4大会ぶりである。
「惨敗です」
最も警戒していた駒澤大に逆転を許して優勝をさらわれ、中央大、青山学院大にも要所で競り負けた。4位で終わると、チームには重たい空気が流れていた。2009年の監督就任から足掛け17年で強豪校の基盤を築いた47歳の指揮官は、しみじみ話す。
「惨敗です。悔しい負けになりました。狙いが外れ、プランニングを含めて、選手の意向を尊重しすぎた部分は(監督である)私の甘さ。もっと戦略的にやらないといけなかった」
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選手たちとともにチームづくりを進める指導者が、悔いたのはエース格の区間配置だ。ケニア人留学生らが集まる主要区間の3区に野中恒亨を起用したのは、本人の志願だった。出雲駅伝の3区では流れを変えるゲームチェンジャーの役割を果たしながら、城西大のヴィクター・キムタイに9秒差で惜敗して区間2位。誰よりも負けん気の強い3年生に「もう一度、留学生と戦いたいです」と言われ、希望を聞き入れた。
4年生で副キャプテンの青木瑠郁からは「全日本に懸けて準備してきました」という熱い思いを伝えられ、エース区間の7区を任せた。出雲では1区で区間5位と本来の力を発揮できなかったが、5000m、10000mの自己ベストはチーム最速。最上級生の矜持もある。
選手の思いを優先して配置したが……
二人ともポテンシャルを高く評価し、厚い信頼を寄せる主力であることは間違いない。ただ、選手の思いよりも適材適所の戦略を優先していれば、違う配置になっていた。


