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ウマ娘のキャラクターは「天皇賞・春」にも忠実? なぜゴールドシップは不思議キャラなのか

posted2021/05/02 06:01

 
ウマ娘のキャラクターは「天皇賞・春」にも忠実? なぜゴールドシップは不思議キャラなのか<Number Web> photograph by © Cygames, Inc.

緻密な設定で「古参競馬ファン」も楽しめるウマ娘

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河村鳴紘

河村鳴紘Meikou Kawamura

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© Cygames, Inc.

 約2カ月で600万ダウンロードを突破した人気スマホゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」を遊び、競馬に興味を持った人もいるのではないでしょうか。古参の競馬ファンがプレーしても「絶対に面白い」理由はすでに紹介しましたが(月収100億「ウマ娘」今更聞けない“どんなゲーム?” 「古参競馬ファンこそ絶対に楽しめる」3つの理由)、この人気ぶりに「競馬はよく知らないけど、ウマ娘は楽しい!」というファンも増えてきているようです。

 そこで、5月2日に古馬最高峰のレース「天皇賞・春」の開催を前に、初心者にも分かる『「ウマ娘」から知る天皇賞・春』を3つの名馬エピソードでご紹介します。

 天皇賞・春は、最も格のあるレース「G1(ジーワン)」の一つで、長い歴史があります。芝の3200メートル、G1では最も長い距離です。競馬のトレンドでは、短距離のレースが好まれる傾向にありますが、天皇賞・春は長距離にもかかわらず、その価値を保ち続けています。

 歴代の優勝馬を見ると実に豪華なメンバーが並びますが、実はゲーム「ウマ娘」でもプレー可能な約30頭のうち、9頭(シンボリルドルフ、スーパークリーク、メジロマックイーン、ライスシャワー、ビワハヤヒデ、マヤノトップガン、スペシャルウィーク、テイエムオペラオー、ゴールドシップ)が名を連ねています。

その1)マックイーンの涙と、ライスシャワーの悲劇

 最初に紹介するのは、メジロマックイーンです。ゲーム中でも名門メジロ家に生まれたという設定ですが、モデルも名門牧場でして、メジロ牧場が生み出した最高傑作でした。祖父と父も天皇賞を制し、自身も勝利したため三代の天皇賞制覇を実現してみせたのです。

 そしてマックイーンは翌年に天皇賞・春を連覇し、その次の年も3連覇を賭けて天皇賞・春に挑むのですが、最後の直線でかわされて2着に敗れます。ゲーム中でマックイーンが敗北後に号泣するシーンが描かれていますが、マックイーンが人間であれば、同じように号泣したのかもしれません。

 3連覇を阻止したのは、小柄な黒鹿毛のライスシャワーでした。前年の菊花賞(芝3000メートル)で、ミホノブルボンの三冠を阻止し、マックイーンの3連覇を阻止したため、ヒール(悪役)的な扱いになったのです。その後ライスシャワーは不振に陥ります。丸2年レースに勝てなかったのですが、復活したのが因縁の天皇賞・春だったのです。華麗な復活劇はゲームでも描かれていますよね。

 ところが競走馬のライスシャワーに、悲劇が訪れます。勝ったG1はいずれも3000メートル超のレースで、引退後の種牡馬としての価値が高まりそうにありません。そして中距離G1の宝塚記念(芝2200メートル)に出走したライスシャワーは、レース中に転倒してこの世を去ります。ライスシャワーの死を巡って、スピードの出ていた馬場の状態や、ライスシャワーを「悲劇の馬」とすることについて、メディアやファンの間で賛否両論が展開されました。

【次ページ】 宝塚記念の悲劇は「ウマ娘」にはない

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