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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「リツは我々が夢見た選手」堂安律フランクフルト加入、じつは長谷部誠やゲッツェが“ずっと太鼓判”「ワールドクラスだ」ドイツ人番記者が知る事実
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ティーモ・ミュラー(『キッカー』誌)Thiemo Muller(Kicker)
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/11/02 17:00
日本代表でウィングバック、シャドーと攻撃面で高性能のポリバレント性を発揮する堂安律。現地ドイツ人記者からも高く評価されている
物怖じしない性格の持ち主だからこそ、新天地でも能力を遺憾なく発揮でき、耐久性の高い身体はパフォーマンスに継続性をもたらしている。日本代表としての長距離移動をこなしながら。
さらに、フランクフルトが信頼する日本人の職業倫理とプロフェッショナリズムを、堂安も備えている。このクラブには、一昨季まで10シーズン選手として在籍した長谷部誠が今も健在だ。2024年現役を退いた彼は現在、ユースチームのコーチを務めている。
「僕のロールモデルで、日本のレジェンドです」と堂安は長谷部に敬意を表した。彼がまとう背番号20は、長谷部が引退するまでつけていたものだ。このふたりには、自分の仕事を懸命に遂げようとする姿勢が通じる。同じクラブにいるので、今では頻繁に顔を合わせる仲だ。長谷部は14歳下の同胞を快く迎え入れ、クラブの公式練習が始まる前から、個人的に会っていたという。
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「律はフランクフルトに多くのものをもたらしてくれるでしょう」
長谷部はドイツのメディアにこう太鼓判を押した。
ゲッツェから“ずっと勧誘されていた”
また同僚のマリオ・ゲッツェ──2014年W杯決勝で決勝点を奪った世界王者だ──は、PSVアイントホーフェンで堂安と共にプレーした経験を持ち、その後は実際にこの日本代表を何度も勧誘していたという。
堂安は明かす。
「フライブルク時代にマリオと対戦すると、彼はいつも『フランクフルトにおいでよ、待ってるから』と言ってくれました」
堂安はこれまで、プレミアリーグへの移籍を希望しているとも伝わっていた。その一方で、チャンピオンズリーグも目標だった。前所属先のフライブルクによると、どちらも叶うようなイングランドのビッグクラブからのオファーはなかったという。それは能力よりも、27歳という年齢がネックになったと見られている。
今オフにブンデスからプレミア強豪に移籍した選手の年齢を並べてみよう。
ウーゴ・エキティケ:23歳
(フランクフルト→リバプール)
フロリアン・ヴィルツ:22歳
(バイヤー・レバークーゼン→リバプール)
ジェイミー・ギッテンス:21歳
(ボルシア・ドルトムント→チェルシー)
ニック・ヴォルテーマーデ:23歳
(シュツットガルト→ニューカッスル)
シャビ・シモンズ:22歳
(ライプツィヒ→トッテナム・ホットスパー)
マティス・テル:20歳
(バイエルン→トッテナム)
このように、ドイツからプレミアリーグのチャンピオンズリーグ出場チームへ移籍した攻撃的な選手は皆、20代前半なのだ。
7歳年下の同僚から「リツはワールドクラス」
だがフランクフルトは、堂安の豊富な経験を高く評価している。

