CS最終戦で決勝打「スーパーサブ“以上”の脇役」愛される男・ソフトバンク川瀬晃スタメン起用の真相…小久保裕紀監督「最後は、俺が決める」 

再びやってのけた大仕事

　1-1の同点で迎えた5回裏2死満塁。試合の流れを左右する重大局面だ。日本ハム・達孝太の3球目、137キロのフォークを引っ張ると、打球はライト前へ落ちた。これでつかんだリードを、リバン・モイネロから8回は松本裕樹、9回は杉山一樹の「今シーズン、この形でずっとやってきた。100％、彼らを信じて送り出した」と指揮官が絶大の信頼を置くリリーバーたちで逃げ切った。

　柳田、近藤、今宮、周東、栗原ら、昨季の優勝を支えた主力たちが、相次ぐケガで戦線を離脱した今季、その“穴”を埋めたのは、開幕ベンチを逃した柳町達であり、開幕スタメンに入れなかった牧原大や4年目の野村勇だった。誰かがいなくても、その代わりはいくらでもいる。その高いポテンシャルを持った選手たちを“プール”するシステムこそが、12球団唯一の「4軍制」を採るソフトバンクの強さだ。

　今CSも、近藤が欠場。中村も頭部打撲のため、第5戦はベンチを外れ、第6戦も大事を取って試合出場を回避した。そんな中で、またもや川瀬がチームの窮地を救った。

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「本当にいいところで回ってきて、大仕事やってのけましたね。晃、おめでとう！」

　試合後のお立ち台で、指揮官がそう呼び掛けた。

スーパーサブを超えた脇役「コボちゃん」

　植田まさしの人気漫画のキャラクターに似た童顔から「コボちゃん」と親しまれる川瀬の照れた表情が、センターのビジョンに映し出されると、ドーム中から万雷の拍手が起こった。

「今年は本当にケガ人が多いシーズンだったけど、川瀬は1年間、登録を外れることなく1軍で戦ってくれた選手。最後、そういう選手が勝ち越し打を打ったのは非常にうれしいですね。ホークスにはなくてはならない選手。替えの利かない、スーパーサブ以上の選手になりましたね」

　指揮官の絶賛は止まらない。

「僕だけの力では打てなかった。レギュラーではない選手でも活躍できたことをうれしく思います」（川瀬）

　この謙虚さも、愛され、重宝される理由かもしれない。

　来るべき日本シリーズでも、要注目の“ノッている脇役”だ。

〈全2回の2回目／はじめから読む〉

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