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プロ野球PRESSBACK NUMBER
CS最終戦で決勝打「スーパーサブ“以上”の脇役」愛される男・ソフトバンク川瀬晃スタメン起用の真相…小久保裕紀監督「最後は、俺が決める」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/10/21 18:31
クライマックスシリーズ第6戦で勝ち越し打を放った殊勲の川瀬。小久保監督が川瀬の名をオーダー表に書き込んだ真意とは
“切り札”川瀬晃という男
2死満塁。打席には2番・川瀬晃。
5月1日、5連敗で借金7の単独最下位。遊撃のレギュラー・今宮健太は死球による「右前腕屈筋群の筋挫傷」で出場選手登録を抹消され、周東も死球から「右腓骨骨折」が判明。近藤は開幕直後の3月31日に腰の張りで出場選手登録を抹消され、4月2日には手術を受けた。柳田悠岐も「右脛骨骨挫傷」で4月12日に戦線離脱し、山川穂高は打撃不振が長引き、5月1日の時点での打率が.192。
これぞ満身創痍。チームとしての『型』が完全に崩れてしまっていたその窮地を救ったのが、プロ10年目、今年28歳の「スーパーサブ以上の存在」と小久保が重宝する“切り札”だった。
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本拠地・みずほPayPayドームで行われた5月2日のロッテ戦も、9回表を終えて1-3のビハインド。6連敗で「借金8」となれば、過去には2007年の日本ハムしか、そこから巻き返しての優勝はないという、不吉なデータもある。つまりは、連覇へのデッドライン。
ロッテのマウンドには守護神・益田直也。2死無走者から3連打で1点差に詰め寄り、さらに死球で満塁とする粘りを見せ、ここで代打に指名されたのが川瀬だった。川瀬はカウント3ボール1ストライクからの5球目、外角のストレートを逆らわずに左中間方向へ運ぶ逆転サヨナラ二塁打を放ったのだ。
振り返れば、あの試合がポイントだった
「ツーアウトランナーなしからサヨナラ勝ちをした川瀬晃のタイムリー。今振り返ると、あの試合がホントにポイントだと思う」
リーグ優勝時の優勝監督インタビュー。小久保が、お立ち台で「ターニングポイントとなる試合」を問われた際に、その名を挙げて称えたのが川瀬だった。
その“大まくりVの立役者”が再び、雌雄を決する大一番で気を吐いたのだ。

