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現場で見た! ドジャース大谷翔平「史上最高試合の3本塁打」をNHK解説者・小早川毅彦氏が完全分析「準備の一発、消失の一発、確認の一発だ」
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小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byJIJI PRESS
posted2025/10/20 11:00
10奪三振と3本塁打で優勝決定という、大谷翔平「史上最高の試合」の3本目のホームラン。現地解説の小早川氏が見た、爆発のわけは?
人生で見た一番大きな本塁打
142mほど飛んだということですね。私も選手、解説者として長い間たくさん野球を見てきましたが、人生で見た中で一番大きなホームランだったんじゃないかなあ。先日、フィリーズのカイル・シュワーバー選手が山本由伸投手から打った特大の一発にも度肝を抜かれましたが、あれが138mくらいだったそうなので、それより飛びましたよね。
まあもう私もどう説明したらいいのかわかりませんが(笑)、とにかく体の回転、そしてバットスピードが速いです。そのスピードがないと、鋭くインサイドに切れ込んでくるカットボールをあれだけ打ち返すことはできませんよ。ドジャースベンチでフレディ・フリーマン選手やマックス・マンシー選手といった強打者が頭を抱えていましたが、確かに頭を抱えたくもなりますよね。あのボールをあんなふうに打てる選手って他にいるのかな、と思ってしまいました。
3本目は復調「確認」の一発
そして、投手として無失点のまま今季初の7回に入ったものの、ランナーを出して交代。ちょっと悔しそうにしていた後の7回裏ですね。今度のピッチャーはトレバー・メギル投手でした。9月こそ少し戦列を離れていましたが、シーズンの大部分でクローザーを務めて30セーブを挙げた好投手です。
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その彼の、低めの160キロ近い豪速球を、バックスクリーン左まで運びました。これはもう、ああ、調子のいい大谷選手が戻ってきたな、ということがわかる、「確認の一発」でしたね。センターからやや左方向に大きな打球がいく、ああ、いつもの、という感じです。まあそれも見ているほうの感覚がどうかしている気がしますけれど(笑)。「MVP」コールが鳴り響いて、放送席にいると球場が揺れていましたよ。
パトリック投手もメギル投手も、まったく悪い投球ではなかったんです。だって2人とも、大谷選手のホームラン以外は、強力ドジャース打線をすべて抑えているんですよ。しかし、大谷選手だけは抑えられませんでした。大谷選手の打撃の状態は完璧に戻ったと見ていいでしょうね。
自分が打者出身ですので、ついホームランの話ばかりしてしまいました。後編では、ワールドシリーズに向けて、ドジャースのチーム状況全体についても触れたいと思います。
〈全2回の2回目/つづく〉

