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現場で見た! ドジャース大谷翔平「史上最高試合の3本塁打」をNHK解説者・小早川毅彦氏が完全分析「準備の一発、消失の一発、確認の一発だ」
posted2025/10/20 11:00
10奪三振と3本塁打で優勝決定という、大谷翔平「史上最高の試合」の3本目のホームラン。現地解説の小早川氏が見た、爆発のわけは?
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小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph by
JIJI PRESS
いや、すごいものを見てしまいましたね、皆さん。
もちろん、ドジャース対ブルワーズ、ナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦のことです。私がNHKで解説した試合そのものだけでなく、日本での試合後の報道もすごかったでしょうから、これを読んでくださるファンの方々ならもう、あらかたのことは先刻ご承知とは思いますが、なんとか大谷翔平選手のものすごいプレーを解説してみましょう。
「50-50」達成を超えた「史上最高」試合では?
10奪三振3本塁打でリーグ優勝というこの日のプレーを称賛するには、どんな言葉でも足りないくらいですが、ともあれ昨年の「50-50」達成試合を超えて、「大谷選手史上最高の試合」を更新したと言っていいのではないですか。だって、「50-50」のときの3本塁打の1本は、敗戦処理で登板した野手からでしたが、この試合の3本塁打はいずれも、リーグ最高勝率のブルワーズの、指折りの好投手3人を打ち砕いたんですから。
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まず1本目、1回表に3者連続三振を奪ってからの先頭打者ホームランです。ブルワーズ先発のホセ・キンタナ投手は36歳のベテラン左腕。今シーズンは先発ローテーションで11勝を挙げています。これまで大谷選手を抑え込んできた左投手陣同様、アウトコース低めの変化球、おもにスライダーをなんとかして振らせよう、そこで打ち取りたい、という組み立てでした。ただ、大谷選手がそこを見極めて、アウトローのボール球を我慢して手を出しませんでしたね。
これは「よし、外角は見逃すぞ」とその日に思ったから、すぐできたというだけではないでしょう。地区シリーズのフィリーズ戦から徹底的に左投手にマークされてなかなかヒットが出ない中で、大谷選手も積極打法から、体の開きを抑えてボールを見極めるようにアプローチを変えて、我慢のバッティングをしていました。

