「大学時代はイップスで…」早大を大学駅伝3冠に導いた元主将・八木勇樹が説く“走る前にアタマを整える”方法 

　タイムを出すには、「ブレないこと」も重要だという。

「今は、情報過多の時代なので練習の動画を見たり、イベントや他の練習会とかに顔を出して走る人がいますけど、そういう人はまず結果が出ないです。その場その場で練習が点になっているので、自分に何が必要なのか見えなくなるからです。これは教える側との間に信頼関係があることが大前提になりますが、まずはコーチのいうことを信じて愚直にメニューに取り組んでいくことが、タイムを上げるために大事なことだと思います」

　このチームでと決めて練習していく中で、なにか違うなと感じたときに初めて違う要素を取り入れるべきで、最初からあちこち手を広げてやった気になってもタイムには繋がらないということだ。これは、ランナーが意外と陥りやすい落とし穴でもある。

「RDC RUN CLUB」の練習会は、代々木公園、皇居、横浜、大阪、神戸でそれぞれ週2回ずつ行われ、フルマラソンの目標タイム別にグループが分かれてきめ細かなトレーニングを受けられる　©Asami Enomoto

PB達成のキモ

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　PBを更新していくために、練習メニュー、ケアなど取り組むべきことが多々あるが、最終的に一番大事なことは「自分をよく知ること」だという。

「がむしゃらに練習したところでPB更新できるかというと難しい。そのためには、自分を知ることです。たとえばサブ3狙いだと1kmのインターバルをキロ3分30秒から35秒で走り、リカバリーを2分とり、5本をこなすのがベースと言われています。そうした目標達成に届くような適正なトレーニングをしつつ、自分に何が足りないのか、何が強みなのかを把握した上で同レベルの人と練習する。そこで、また自分の得意や苦手な部分が見えてくるので、再び足りないところを強化し、アベレージを高くしていく。コーチなど教えてくれる存在がいる場合、信頼することはもちろん大切ですが、頼り切るのではなく、まずは自分のことを理解することでトレーニング効果が上がり、より早く目標達成に近づいて行けると思います」