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「大学時代はイップスで…」早大を大学駅伝3冠に導いた元主将・八木勇樹が説く“走る前にアタマを整える”方法

posted2025/10/23 10:01

 
「大学時代はイップスで…」早大を大学駅伝3冠に導いた元主将・八木勇樹が説く“走る前にアタマを整える”方法<Number Web> photograph by AFLO / Asami Enomoto

左は早稲田大学3年時の箱根駅伝で区間2位で走って総合優勝に貢献したときの勇姿。現在(右)は少しお腹を気にしつつも、ランナーのサポートに精力的に活動している

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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AFLO / Asami Enomoto

2011年の箱根駅伝で総合優勝など早稲田大学の大学駅伝3冠に貢献した八木勇樹さんは、現在、主宰する「RDC RUN CLUB」を中心に、ランナーをトータルでサポートする活動に取り組んでいる。そんな八木さんが「実はずっと不調だった」という現役時代の経験を元に、PB(プライベートベスト)達成のための方法論を語った。

「大学ではイップスになり、まともに走れなかったんです」

 早稲田大3年の時は競走部主将としてチームを牽引し、大学駅伝3冠を達成した八木勇樹さん。だが、狙った大会で思うようにれず、意外にも苦しんでいたという。

「試合の朝、ウォーミングアップするんですけど、その時点で心拍数が180ぐらいになって、1km6分ぐらいかかるんです。ぜんぜん自分の体じゃないんですよ。全カレ(日本学生陸上競技対校選手権)の時は、何回も国立競技場の2階から飛び降りようと思いました」

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 ただ、まったく走れないということではなかった。練習では気楽に走れるのでいいタイムが出た。渡辺康幸監督に「いけるよ」と判断され、3年の時は出雲駅伝3区区間賞、全日本大学駅伝3区3位、箱根駅伝9区2位と結果を出した。

「全日本や箱根である程度、結果を出せたので、自分に力があることは理解していたんですけど、練習と本番のギャップが大き過ぎて……。目標タイムを設定しても試合を意識するとダメになるので、練習として走るみたいな感じをいかに自分の気持ちのなかで保てるかを重視していました」

苦い経験を指導の糧として

 その経験は、レースになると緊張してしまい、パフォーマンスを発揮できない人にも通じる部分がある。

「今、クラブチームで市民ランナーのコーチをしていますが、試合で心理的負荷が掛からないようにアドバイスするなど、現役の頃の経験を活かしています」

 八木さんが主宰する「RDC RUN CLUB」には目標を達成したい、速くなりたいと思うランナーが集っている。ただ単に走るだけではなく、速く走るためのベース作りを重視しており、練習前に30分以上、動き作りの時間を設けている。

【次ページ】 追い込むことのリスク

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#八木勇樹
#早稲田大学

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