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「レアルと友好関係にヒビのボイコット事件は…」「世界No.1のエムバペが無縁のナゼ」バロンドール選考舞台裏をフランス名門誌編集長が語る 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byKiichi Matsumoto/JMPA

posted2025/10/05 17:01

「レアルと友好関係にヒビのボイコット事件は…」「世界No.1のエムバペが無縁のナゼ」バロンドール選考舞台裏をフランス名門誌編集長が語る<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA

現代サッカーでNo.1プレーヤーと言えるエムバぺだが、まだバロンドールの栄光は手にしていない

「チームの構成に大きな変化はなく、監督も代わらない。先日、エンリケは、今季も欧州チャンピオンのタイトルを獲りたいと語った。2連覇を目指したいと。

 とはいえCLで勝つのは簡単ではない。何が起こってもおかしくはないし、実際、クラブW杯決勝(7月13日、イーストラザフォード)ではチェルシーに敗れた。厳しい気候条件や長いシーズンを過ごして蓄積した疲労、チェルシーの方がよりフレッシュだったとはいえ、0対3という結果は完敗といえた。

 現在のPSGが警戒を要するチームであるのは間違いない。だが、そこから先は……。ライバルにも事欠かない。リバプールはこのオフに積極的に補強したしアーセナルやバイエルンもそうだ。バルセロナはあまり動いていないが、レアルは監督を代えた。リバプールもまた素晴らしいチームだ。競争は厳しいが、欧州No.1を決める戦いは常にそういうもので、強豪がひしめき合っている。

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 私はレアルよりもバルサを警戒する。昨季のレアルは低調で、クラブW杯からカルロ・アンチェロッティに代わり、チャビ・アロンソが新監督に就任した。トップトップに戻るには多少の時間がかかるだろう」

エムバペは得点を決めたがそれだけで…

――キリアン・エムバペは、昨季は大きな活躍はなく少し忘れられていました。バロンドールは彼の悲願ですが、今季に関してはどうでしょうか。

「彼がPSGから移籍したのは、欧州チャンピオンのクラブだった。レアルは超一流選手が揃っている。そこでエムバペ自身はゴールを量産(65試合で46得点)してパフォーマンスを発揮した。だがコレクティブな面では、チームのパフォーマンスはいいとはいえなかった。ビニシウスやロドリゴ、ベリンガムといった中心選手たちとの連携も十分ではなかった。スターの集まりであるレアルでは、チームメイトが彼をコレクティブに助けるような戦い方はできなかった。

 エムバペは自分の仕事をきっちりこなして得点も決めたがそれだけで、フラストレーションが溜まるシーズンであり、奇妙なシーズンでもあった。あれだけゴールを量産しながら、クラブは何もタイトルを獲れなかったのだから。

 目立った活躍といえば、マンチェスター・シティとのCLノックアウトフェーズプレーオフ第2戦(2月19日)でハットトリックを成し遂げたぐらいだ。たしかにあのシティ戦(3対1でレアルの勝利)は素晴らしく、エムバペのシーズンベストマッチでもあった。シティに連勝したレアルは要警戒だと誰もが思った。レアルがシティに痛快なレッスンを与えたと。だがそのレアルも、準々決勝ではアーセナルに完敗した(2試合合計5対1)。

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