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「レアルと友好関係にヒビのボイコット事件は…」「世界No.1のエムバペが無縁のナゼ」バロンドール選考舞台裏をフランス名門誌編集長が語る
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2025/10/05 17:01
現代サッカーでNo.1プレーヤーと言えるエムバぺだが、まだバロンドールの栄光は手にしていない
ヤマルはすでに評価を確立し、昨季はバルサの中核として活躍した。バロンドールの有力候補でもある。もちろんレイモン・コパトロフィーの本命でもあるが、新たに台頭した存在というわけではない。それはドゥエだ」
――メルシー、ヴァンサン。これだけ聞けば十分です。結果発表と授賞式の後で、もう一度インタビューできますか。
「それは構わないが、今年は授賞式がつつがなく執り行われることを願っているよ(笑)」
レアルの表彰式ボイコット事件は…
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――去年のハプニング(レアル・マドリーの授賞式ボイコット)は、編集部やあなたにとってトラウマになりましたか?
「とてもきつかった。授賞式当日の、突然のボイコットだった。普通ではなかったし、大きな論議も呼んだ」
――レアルとFF編集部とは、歴史的に見ても常に友好的でした(1957年のアルフレッド・ディステファーノを皮切りに、レアルからは歴代最多の8人がのべ12回バロンドールを受賞)。
「その友好関係にひびが入った。修復を図ろうとしてはいるが、時間はかかるだろう。幸い昨季のレアルの選手たちは本命ではないから、去年のようなことにはならないが、遅かれ早かれ彼らが本命になる日はやってくる。
昨年は本当に大変だった。誰もがレアルのボイコットしか話題にしなかった。しかしもう過去のことだ。今年はうまくいくだろう」
――PSGとはレアルのようにはならないでしょう(笑)。
「通常は起こりえないし、レアルの行動が他のクラブに悪影響を与えないことを願うばかりだ。バロンドールは世界最優秀選手の表彰であり、同時に世界最優秀クラブの表彰もおこなっている。その権威が損なわれた。レアルはバロンドールこそ逃したものの、最優秀監督賞と最優秀クラブ賞を受賞し、エムバペは得点王に輝いた。それらを当事者不在のまま祝福せねばならなかったのだから本当に厳しかった。
受賞できる年もあれば敗れる年もある。投票で決めるのだから、それは仕方のないことで、誰もが受け入れるしかないことだ」
――その通りですね。メルシー、ヴァンサン。〈第1回からつづく〉

