高橋藍のカラフルデイズBACK NUMBER
「藍が“しんどい”なんて珍しい…」悩める高橋藍(24歳)の目を覚ました“ある先輩”の助言とは?「バレーボールはもっと本能でやればいい」
text by

高橋藍Ran Takahashi
photograph byxinhua/AFLO
posted2025/10/03 11:04
世界選手権を振り返った高橋藍(24歳)。すでに視線は石川祐希を擁するペルージャとの親善試合、そして開幕を控えるSVリーグに向いていた
「『藍がしんどいと言うなんて珍しい』という話から始まって。福澤さんには『チームをうまく回していかないといけないとか、バランスよくプレーをしていかなければいけないと考えすぎてプレーしている』と言われました。それも必要だけれど、福澤さんに言わせれば、それは30歳を超えてからの話だろと(笑)。『藍はもっとバレーボールを本能でやればいい』と言われ、確かにそこを見失っていたと気づかされたんです。チームを勝たせないといけない、うまく回さないといけないと考えすぎていたので、カナダ戦は本能でプレーできました。負けてしまいましたけど、これが自分だと改めて感じることができた試合になりました」
ゆず、スピッツ…空気を変える選曲
――もう一つ、印象深い出来事がありました。カナダ戦翌日の練習、ウォーミングアップの際に流す音楽の選曲担当だったと思いますが、ゆずの『夏色』やZONEの『secret base〜君がくれたもの〜』、スピッツの『チェリー』など24歳の高橋選手より少し上の世代に刺さるセレクトでした。
「夏が終わっちゃうなぁ、と思って(笑)。ヒップホップとか洋楽とか勢いに乗れるような音楽をかける時はありますけど、あの時はリビア戦に向けてまず落ち着こうと思って選びました。正直、あの試合はモチベーションがすごく難しかったなか、最後まで戦いきらなければいけない、勝たなければいけない、というプレッシャーもあった。すごく苦しかったですけど、選手以上にスタッフ陣が落ち込んでいるのが伝わってきたので、みんなが知っている曲で気持ちを落ち着かせて、またいつも通りのいい雰囲気で練習に臨もうよ、という思いでしたね」
ADVERTISEMENT
――音楽のセレクトだけでなく、翌日のリビア戦はプレーや振る舞いがそれまでの2戦とはまた違う「新たなスタート」という姿を見せました
「完全燃焼ではないけれど、自分自身にとってもこれから先へつながる試合になりました。最後、(引退するリビアの選手とユニフォーム交換をした)宮浦(健人)さんがコートで脱ぎましたね。大会の結果としては残念でしたが、いい締めくくりになったと思います(笑)」

