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「藍が“しんどい”なんて珍しい…」悩める高橋藍(24歳)の目を覚ました“ある先輩”の助言とは?「バレーボールはもっと本能でやればいい」
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高橋藍Ran Takahashi
photograph byxinhua/AFLO
posted2025/10/03 11:04
世界選手権を振り返った高橋藍(24歳)。すでに視線は石川祐希を擁するペルージャとの親善試合、そして開幕を控えるSVリーグに向いていた
「雰囲気がぬるっとしていました。選手同士は普段からすごく仲が良くて、それは強みでもあるんですけど、勝つため、勢いをつけるための1点が欲しい場面でチームが締まらず、ミスになる。勝ち方を知っている選手もいれば、実力をうまく発揮できない選手もいた。チームとして戦えていない感覚が自分の中ではすごくありました」
――そもそも、パリ五輪のチームとは費やしてきた時間が違うので、今回の新体制のチームと比較することは難しいと思いますが「ぬるっとした感じ」の要因は何だと思いますか?
「昨年のオリンピックに向けてやってきた選手は経験値もあります。そこからメンバーが変わって、その差はあるのかな、と。新体制になって1年目、まだチームとしての形ができず、もっといいものをこれから積み上げていく段階ではありますが、1点の重みや勝ち方を練習から意識できていたかといえば、そうじゃなかった。それがずっと試合まで続いて、上がってこられずに終えてしまった。昨年まではわざわざ言わなくてもできていて、試合前になれば緊張感も出てきて、スイッチが勝手に押されていました。結果が出てから、もっと引き締めればよかったという思いが強く残ったので、そこは次につなげる反省であり課題でもあるのかなと思っています」
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――期待が高かった分、結果に対して世間の評価も厳しかった。
「言いたい放題でしたよね(苦笑)。僕は全く気にならないタイプですけど、気にする選手もいたと思うし、選手の目に入るので責任を重く感じて落ち込んでしまう選手もいる。でも、どんな状況でもやるのは自分たちだし、いろいろ言われるのはバレー人気が出てきた証拠であるのも間違いない。結果で証明していくことしかできないので、僕自身は逆に火がつきました」
福澤さんの言葉で変わることができた
――世界選手権では敗れた初戦のトルコ戦から、次のカナダ戦まで中1日ありました。高橋選手のプレーや姿勢は変わったように見えましたが、どのように気持ちを切り替えたのでしょうか。
「福澤(達哉)さんと話せたことが大きかったですね。僕が日本代表に入った時からいて、同じコートでプレーしてきた方なので。福澤さんの言葉で変わることができました」
――高橋選手から福澤さんに話しかけに行ったように見えました。※福澤さんはTBS中継のレポーターとして現地入り
「自分から行きました。正直に言うと、予選を突破できないかもしれないという“不安”を感じたのは初めてだったんです。トルコがいいチームだったことは大前提ですが、数字としていいものを出せなかった。福澤さんに『しんどいです』と言いました」
――どんなやりとりを?


