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セッター永露もびっくり「トス300本あげて」男子バレー“次世代ミドル”25歳エバデダン・ラリーが“超強気”な理由「戻ってきても、席はないぞ」
posted2025/09/18 17:04
高橋藍(左)と喜ぶエダデダン・ラリー。まさかの予選敗退となった世界選手権だったが、終始安定したプレーを披露していた
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
YUTAKA/AFLO SPORT
ようやく訪れた、勝利の時――。
バレーボール世界選手権・予選ラウンド最終戦。すでに決勝トーナメント進出の道が絶たれている男子日本代表は、アフリカのリビアに3対0で勝利して大会を締め括った。
世界ランキング7位の日本に対し、リビアは75位。大規模な国際大会は初めての出場となる相手なのだから勝って当然。それでも、ここまでの苦しく、厳しい戦いを考えれば、なんとしても勝利が必要な試合だった。
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勝つことの難しさを知ったからこそ、最後は原点に立ち返り、バレーボールを楽しむ。今季、取り組んできたことを出し尽くす場だと証明するように、攻撃陣が躍動した。両チーム最多の15得点を挙げた宮浦健人、12得点の石川祐希、11得点の高橋藍とアタッカー陣に続いたのが、10得点を挙げたミドルブロッカー、エバデダン・ラリーだった。
「世界に見てもらうための“品評会”」
実は決戦前夜の練習後、25歳のムードメーカーは秘めたる決意を明かしていた。
「明日(リビア戦)は世界に自分を見てもらうための“品評会”だと思っていて。チームプレーに重きを置くのは大前提ですけど、自分のプレーにもフォーカスしたい。今まで絶対、試合で言ったことはないですけど、明日は試合前にセッターに『たくさんボールください』って言おうと思っているんです。言う以上は誰よりも得点を取るつもりで、エバデダン・ラリーを世界に印象付ける。これからのためにポジティブなマインドで戦うと決めていました」
表彰台を目標にしながら、予選ラウンド敗退という現実。その悔しさもエバデダンを奮い立たせる要素ではあったが、もう一つ、大きな理由がある。
1年前の夏、パリでの経験だ。エバデダンはパリ五輪本大会メンバーから漏れたが、そのままチームに同行し、試合をスタンドで観戦している。

