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「棋力は誰にでもつく」「勝ちパターンを確立できた」なぜ“将棋の鬼”は藤井聡太に敗れ続けて強くなるのか「私はそこしか見ていないので」
text by

大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph byShintaro Okawa
posted2025/09/27 11:05
「棋力は誰でもつく」「勝ちパターンを確立できた」……努力の天才・永瀬拓矢が強くなろうとする根源的な理由とは
対人の研究会を少なくするということだが、藤井とのVS(1対1の研究会)はどうなるのか。
王将戦の挑戦が決まった昨年の晩秋くらいから、藤井とは練習将棋を指していないと永瀬は言っていた。「七番勝負で戦えるのならVSの必要はない」と語っていたくらいである。10月から始まる竜王戦でもその状況を続けたかったのだろうが、決勝トーナメントで挑戦者の佐々木勇気八段に敗れた。藤井との次の七番勝負の可能性は、最短でも来年1月からの王将戦である。
「連絡はもちろんするつもりです。できるだけ早い方がいいので、明日にでも送るかもしれません。今日、打ち上げで藤井さんと席が近かったら話しかけようと思っていたのですが、ちょっと席が離れていたので」
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藤井の地元・愛知に赴く機会も増えるのだろう。「名古屋に行くのは好きなので、ガンガン行きたいですね」と嬉しそうに永瀬は話した。
永瀬さんはいま、何を目指しているんですか?
これで本当に最後の質問だ。あえて抽象的に聞いてみた。
「永瀬さんはいま、何を目指しているんですか?」
間髪を入れず、返ってきた。
「藤井さんといい勝負をすることです。私はそこしか見ていないので」〈第1回からつづく〉

