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“初のタイトル戦3連敗”藤井聡太23歳「不調というより」は本当か…元A級棋士がズバリ「永瀬拓矢、増田康宏の工夫が」「大棋士ほど逆境に強い」
posted2026/02/28 06:00
冬の王将戦、棋王戦で厳しい戦いを強いられている藤井聡太六冠。果たして“不調説”は本当なのか
text by

田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
Keiji Ishikawa
藤井聡太六冠(23=竜王・名人・王位・棋王・棋聖・王将)は2020年7月に初タイトルの棋聖を獲得して以来、タイトル戦での奪取と防衛を重ねてきた。そして23年10月に前人未到の「八冠制覇」を達成した。その後、伊藤匠叡王(23)に叡王と王座を奪取されたが、絶対王者の存在に変わりなかった。しかし2026年に入って、並行して行われている王将戦と棋王戦で、藤井は一時的に負け越す事態に追い込まれた。藤井の不調説が流れている状況を、順位戦A級在籍経験のある田丸昇九段が探る。
何度負けても…「藤井さんといい勝負をしたい」永瀬
今年1月に始まったALSOK杯第75期王将戦七番勝負は、前期に続いて藤井王将に永瀬拓矢九段(33)が挑戦した。持ち時間は各8時間。
藤井と永瀬は、過去に名人戦、王位戦、王座戦、棋聖戦、王将戦と計6回もタイトル戦で対戦し、藤井がいずれも防衛を重ねてきた。両者のタイトル戦での対戦成績は、王将戦第1局を迎えた時点で藤井の21勝6敗(0.778)。
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永瀬が藤井とのタイトル戦でこれだけ敗退すると、普通は心が折れてしまうものだ。しかし、「藤井さんといい勝負をして、1局でも多く指したい」と語り、いたって前向きな姿勢である。それは、今までに勝てるチャンスは何局かあり、最終局に持ち込める可能性があったからだという。
ちなみに昭和の名ライバルだった中原誠(十六世名人)と米長邦雄(永世棋聖)のタイトル戦では、米長が8回目に挑戦した1979年の王位戦で中原を初めて破った。その後、米長は中原と互角に渡り合った。93年の名人戦では、米長は中原を破って49歳11カ月の最年長記録で名人位を獲得した。
囲碁の第50期棋聖戦七番勝負では、一力遼棋聖(28)に芝野虎丸十段(26)が挑戦している。両者は数多くのタイトルを獲得したトップ棋士だが、過去6回の番勝負でいずれも一力が勝っている。今期棋聖戦の戦績は、第3局終了時点で一力の2勝1敗。芝野が第4局で五分に戻せば、勝負の流れが変わる予感がする。
初めて“2日制タイトル戦で藤井に勝ち越した”棋士に
王将戦第1局(1月11、12日=静岡県掛川市)では、振り駒で先手番に決まった永瀬は角換わり腰掛け銀の戦型を採った。「真剣」の戦いだと形容していて、抜き身を突きつける気迫で臨んだ。そして難解な激闘を制して永瀬が勝った。

