「台湾の有望中学生が“日本の高校野球”に流出」台湾代表の監督が語った“本音”…驚きの再会、じつは聖隷クリストファーに留学した選手が台湾代表通訳に 

「高校時代は内野手でした。台湾チームには150キロを投げるピッチャーもたくさんいる。ブルペン捕手も難しいです……」

あのセンバツ落選も…

　現在大学2年生ということは、聖隷クリストファーの1年時に東海大会で準優勝しながら、センバツに落選するという憂き目に遭った世代でもある。

「ちょうど僕は（コロナ禍で）日本に来られていない時期だったけど、悔しかったことを覚えています。（初出場だった）この夏の甲子園には、もちろん、応援に行きました」

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　聖隷の救済を求める活動をしていた筆者にとっても思いがけない出会いであり、聖隷の田中公隆副部長に連絡を入れると、同校の上村敏正監督さえもワン氏が通訳として台湾チームに帯同していることは知らなかったようで、とても驚いていた。

「すみません、実は監督や田中先生には報告していなくて（笑）。このあと、ちゃんと連絡します」（ワン氏）

　異国から野球を学びにやってきた球児が、卒業後も日本に残り、通訳として日本と台湾の橋渡し役を担う。指導者にとってこれほど喜ばしいことはあるまい。

日本の高校野球、どんな印象？

　彼にも日本の野球の印象を聞いた。

「日本の野球はものすごく細かくて、走塁と守備に対する意識が台湾とは比べものにならないぐらい高いと思います。野球が文化として優れていると思います」

　この夏は、広陵高校（広島）における集団暴行事件が高校野球界の大きな騒動となった。

「上下関係が過激なところも確かにありますよね……聖隷はそんなことはなかったし、親元を離れて、洗濯をしたり、部屋を片付けるのも自分でやらなきゃいけない。すごく勉強になることが多かった。この経験をこれからの人生に活かしていきたい」

　将来、日本にやってくる台湾人選手の通訳になる——そんな選択肢が彼の中に加わったW杯となった。

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