甲子園の風BACK NUMBER
日本代表になった末吉良丞と対戦「沖縄尚学メンバーの本音」…比嘉公也監督「厄介だな」宜野座恵夢「捕手目線と全然違う」現地沖縄で見た“お祭り”ウラ側
posted2025/09/04 11:15
U-18日本代表の一員として沖縄に「凱旋」した末吉良丞。壮行試合では沖縄尚学メンバーとの対戦が実現した
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松永多佳倫Takarin Matsunaga
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Takarin Matsunaga
さながらポップスターの降臨だった。
試合開始前、演出のために用意されたDJがマイクパフォーマンスでスタメンを紹介し、選手がそれぞれスタンドに向かってお辞儀をする。
そのときだ。
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「末吉良丞~」のコールがかかった瞬間、「うおおお!」とスタンド全体が絶叫した。
末吉が一歩踏み出してスタンドに向かってお辞儀をすると、「末吉ー!」「おかえりー!」と大歓声が浴びせられる。子どもたちが手作りした“末吉”のロゴ入りのうちわを激しく揺らし、拍手やお馴染みの指笛が大音量で鳴り響く。
もはや野球ファンで“末吉良丞”の名を知らない者はいない。それほど大きくなって、末吉は沖縄に帰ってきた。
チケットは即完売「この試合だけは観たい」
ドラマチックな夏の夜を演出してくれたのは、気まぐれな沖縄の空だったのかもしれない。
U-18日本代表が沖縄県高校選抜とU-18野球ワールドカップ前最後の壮行試合を戦った9月2日は、沖縄本島にとって“最後の夏祭り”となった。
当日の15時頃、那覇市内の空は雨雲に覆われ、試合開始が危ぶまれるほどのスコールが降り続けた。しかし17時前になるとピタッと雨が止み、晴れ間が見えてくる。沖縄尚学と浦添高校の選手たちが懸命にグラウンド整備を行ってくれたおかげで、30分遅れの18時30分にプレイボールがかかった。
沖縄では大注目の試合とあって、チケットは即日完売。運営は急遽追加席を販売し、沖縄セルラースタジアム那覇の外野席まで開放するという異例の措置を取った。普段は野球に興味を持たない層までもが沖縄尚学の甲子園優勝にあやかって、「この試合だけは観たい」とチケットを求めた結果、超満員に膨れ上がったわけだ。
前日には、沖縄尚学の2年生ダブルエースである末吉良丞と新垣有絃が、それぞれ先発登板すると発表された。末吉は2年生で唯一日本代表に選ばれ、新垣は沖縄選抜のメンバー。甲子園優勝の原動力となった2人が、紅白戦以外で敵味方に分かれて投げ合うのはもちろん初めてだ。さらに日本代表の強化試合での2年生同士の先発も史上初めてのことであり、試合開始前から満員のスタンドはボルテージが上がりまくる。



