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「ごめんなさい、野球は観ないわ」「オオタニの大ファンだよ」大谷翔平効果でニューバランスが人気? アメリカで取材「“おじさんの運動靴”はこう変わった」
text by

水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2025/09/04 11:01
ニューバランスとアスリート契約を結んでいる大谷翔平
なぜ浸透? 光るプロモーション
契約アスリートになったことが発表されたのは、2023年WBCに向けて侍ジャパンが始動する直前。大谷は侍ジャパンのエース兼主砲として活躍し、米国代表との決勝戦では最後にマウンドに立ち、当時チームメートで長年メジャーの顔の1人であるマイク・トラウトと9回2死走者なしという土壇場の場面で対戦した。空振り三振に切って取りチームを優勝に導いたそのシーンは、米国野球の長い歴史の中でも燦然と輝く名勝負の1つとなったといっても過言ではない。盛り上がったその大会期間中、米国のテレビやネット配信の野球中継では大谷のニューバランスのCMが繰り返し流れていた。
2024年3月には大谷の二刀流の才能を表現したという「シグネチャー・ロゴ」がお披露目された。この年の11月27日付の米スポーツメディア「ジ・アスレチック」の記事によると、ニューバランスのもとには「ロゴのモチーフが大谷らしくない」という批判がずいぶん殺到したという。大谷が走る姿を描いているため「打撃をする姿、または投球する姿をロゴにすべき」という意見が圧倒的だったそうだ。しかしニューバランスは反論したり説明したりといったことをあえてしなかったという。そんな戦略も、かえってファンの注目を集めることにつながっていた。
ニューヨークのあらゆる場所であらゆる人の足元を見てきてわかったのだが、ニューバランスのスニーカーは老若男女すべての世代や性別の人が履いていたものの、その中でも小学生以下の子供たちが履いている割合が圧倒的に多い。次の時代を担う世代に最も人気が高いブランドというわけだ。それは「オヤジの運動靴」からの驚くべき変化だった。

