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「史上最高のスピーチだ」イチローの“ある発言”を米国記者4人が絶賛「マーリンズを聞いたことない…に笑ったね」「まさか英語で語るとは…」現地の反応
posted2025/07/31 06:50
米野球殿堂入り式典でのイチローさんのスピーチが米国で絶賛されている
text by

水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph by
Naoya Sanuki
野球の聖地・米ニューヨーク州クーパーズタウンで7月27日に行われた米野球殿堂入り式典でのイチローの英語スピーチが、日米で大きな話題となった。英語を母国語とする米国記者たちは、 19分間のスピーチをどう聞いたのか。ベテラン記者4人に直撃した。
「これまで聞いたことなかった」
まずは、イチローのデビュー当初からシアトルでその姿を見続けてきた現地専門ラジオ局「シアトル・スポーツ」の名物リポーター、シャノン・ドライヤーさん。「彼が伝えたかったメッセージが込められた、力のあるスピーチだった」と評した。
「彼自身にとって、そして彼を見続けてきた人たちにとって、何が重要なことなのかという彼の思いが込められていた。フィールドに出たら観客を楽しませるという明確な哲学があったから、私たちは彼のあのトレードマークのようなプレーが見られたのだと改めて理解できた。そんな彼の思いを聞くのは、長く取材してきた私にとってもこれがほぼ初めてだった」
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2001年にマリナーズでデビューしてからトレードで移籍するまでの11年半の間に地元メディアには見せなかったイチローの姿が、クーパーズタウンのステージ上にあったという。
「彼のユーモラスな一面。それは、最初のシアトル時代には出していない部分だった。笑いを誘うような発言はほとんどなかったと思う。だからこのセレモニーで披露した楽しいスピーチは、特別感があった。彼の人間味溢れる一面を見られて、私もとてもうれしかった。彼の持つ『夢と目標は違う』という哲学や、日本人初の野手としてメジャーに挑んだときに多くの人が否定的だったという話などもこれまで聞いたことがなく、イチローの歴史を感じることができた」
人間イチローを知ったスピーチ。米国人が心を奪われたのは、それが1つの理由だった。
「あんなに面白い人物だったとは…」
イチローが2012年途中にトレードで移籍したヤンキースを長年取材しているニューヨーク・ポスト紙のダン・マーティン記者にも話を聞いた。マリナーズ時代のイチローは現地メディアとの距離が遠かった印象だが、全米で一番メディアの数が多く、辛辣で、取材姿勢も猛烈なことで知られるニューヨークではどうなるのか。そんな部分も注目されていたのがこのヤンキース時代だった。臆せずに直接、一対一でイチローに話しかける記者も何人かおり、その1人がマーティン記者だった。

