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部員全員が寮生活でスマホNG…甲子園強豪校の“昔のイメージ”は変わったのか? 公立校“最後の優勝監督”が明かす「タイブレークは格下に有利」 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/08/29 06:01

部員全員が寮生活でスマホNG…甲子園強豪校の“昔のイメージ”は変わったのか? 公立校“最後の優勝監督”が明かす「タイブレークは格下に有利」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

2007年、夏の甲子園を制した佐賀北。現在に至るまで“最後の公立優勝校”になっている

百﨑 モモティー。百﨑ティーチャーという意味なのかな。甲子園に出ると、尊敬している人は誰ですか、みたいな選手アンケートがくるでしょ。そこで自分の名前を書かれたことなんて一度もないと思うな。選手たちから「優勝して監督を男にしたい」みたいなことを言われたことも一度もない。でも、僕はそういうチームを目指していたから。いや、そう言われる監督さんがどうのこうのというんじゃないんですよ。僕も尊敬していると言われたくないわけじゃない。でも、実際、そういうことはなかったし、僕はそれでいいと思っているだけで。でも大人になってから、久々に飲んだりすると、あのとき、ああ言われた意味、ようやくわかりましたとか言ってくれる。それだけで十分ですよ。やっぱり子を持つ親にならないとわからないことって絶対にありますもん。

――2007年のVメンバーとも飲んだりすることはあるんですか。

百﨑 あいつらとはないな。定年退職したとき、年末の忘年会に呼ばれたことがあったんだけど、直前で用事を入れて、キャンセルした。たいした用事じゃなかったんだけど。

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――なぜですか?

百﨑 単なる忘年会だと思ってたから。実際は、定年退職のおつかれさま会も兼ねていたらしいんだよ。滅多にこないやつらもわざわざ集まってくれて、プレゼントまで用意してくれていたらしいんだけど。そう言ってくれたら、行ってたのにな。そもそも、そういう集まりとか、あんまり好きじゃないから。

「結婚式、呼ばないでほしい」

――でも、結婚式で会ったりすることはあるんじゃないですか。

百﨑 それは行きますね。相当、行ってると思うな。本当は呼ばないで欲しいんだけど。お金がかかるから。

――百﨑さんは錦鯉の飼育が趣味で、定年退職したら、新潟の小千谷市や山古志村(現・長岡市)などの錦鯉の里巡りをしたいと話していましたが、それは実現したのですか?

百﨑 いや、まだ行ってないんですよ。ただ、錦鯉の弟子ができました。3年生の坂田(悠真)です。この夏、ベンチ入りできなかった3年生2人のうちの1人。そいつが最初に俺に声をかけてきたとき、野球の話かと思ったら錦鯉の話で。「自分も鯉を飼っているんで、今度、百﨑さんの鯉を見せてください」って。おじいちゃんが家でずっと飼っていたらしくて、彼も好きになったみたい。でもこの前、「いただいた鯉、死んじゃいました」って言ってたな。僕に錦鯉を語らせたら、野球の倍は話せるよ。

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「髪型自由化なのに…なぜ丸刈り人気?」佐賀北の甲子園優勝監督が語る“強豪公立野球部の今”「慶応が優勝して…チャラチャラして、と言えなくなった」

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