「沖縄尚学170センチvs日大三177センチ」“小さい”沖縄尚学の優勝は番狂わせだった？ 証言「沖縄尚学にあって、県岐阜商になかった“バント”」公立校の敗因

　県岐阜商の躍進はたしかに目覚ましかった。公立校でベスト4。しかし、敗れたこともまた事実だ。県岐阜商の藤井潤作監督は「公立校で優勝するのが夢」と言っていた。となれば、敗因を考える必要がある。

　今夏、筆者は公立高校の甲子園での戦いを追ってきた。全国から選手を集められない高校は、どうすればタレント揃いの名門校を倒せるのか。

　この疑問に向き合ったとき、まず2つの問いが浮かぶ。県岐阜商はなぜ準決勝で敗れたのか。沖縄尚学はなぜ優勝できたのか。ここからなんらかの示唆が得られないだろうかと考えた。

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　沖縄尚学は私立校だ。しかし、私学ゆえのメリットはあまり享受できていない。ベンチ入りメンバーの9割は県内出身。決勝のプレイボール直前に並んだ日大三と沖縄尚学の選手たちの身長差も歴然だった。平均身長は日大三の177cmに対して沖縄尚学は170cm。公立校にとって参考になる点は多い。

決勝戦、平均身長は沖縄尚学170cm、日大三177cmだった　©JMPA

「開会式でビビりました。体が大きくて…」

　加えて、沖縄尚学の不利を示すエピソードがもう一つある。背番号17・山城大夢が決勝直後に何気ない口調で発した言葉だ。

「この代が沖縄県外に出て練習試合をしたのは、昨年秋の石川遠征（沖縄・石川親善高校野球交流試合）だけです」

　そう、彼らは他の強豪私立校のようにハイレベルな練習試合を頻繁に組むことができない。最後の夏を迎えるまでに全国レベルを体感するチャンスは、九州大会、明治神宮大会、センバツ甲子園に限られた。それも、いずれも自分たちで勝ち抜いて手繰り寄せた機会だった。

　副キャプテンの背番号11・嶺井駿輔もこう証言する。

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