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甲子園の風BACK NUMBER
甲子園で躍進した県岐阜商OBが証言「野球部の特別扱いはない」…じつは進学率8割超「“普通の入学”からレギュラーに」公立校が生き残るためのヒント
text by

松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/08/28 11:51
準決勝で日大三に敗れた県岐阜商。決勝進出は叶わなかったが、さわやかに甲子園を去った
毎年11月上旬、“ぎふ信長まつり”を行うなど、地元が生んだ英雄・織田信長を県全体の誇りとしている。岐阜駅前には黄金の信長像が佇んでいる。それは岐阜県人にとってのプライドであり、アイデンティティでもある。回りくどい話になってしまったが、県岐商にも同じことが言えるのではないか。
生徒たちは常に勉強と部活動を両立させる「文武両道」の精神を持ち合わせることで、自己研鑽を重ね、学校の歴史を作っていく。野球部だからといって特別待遇はなく、勉学を基本とする学生生活を送ることが日常化されている。毎年11月に1000人規模の同窓会が開催されるなど強固に張り巡らされた卒業生のネットワークが保たれているのは、そういった環境でごく自然に母校への愛と誇りが育まれるからなのだろう。
全国からエリートをかき集める強豪校の方針によって高校野球が高度に“専門化”する時代にあって、あえて中庸な、それでいて内実を伴った「文武両道」を掲げる県岐商の理念。公立高校の野球部が生き残っていくためのヒントは、そんなところにあるのかもしれない。
<前編とあわせてお読みください>

