「沖縄尚学170センチvs日大三177センチ」“小さい”沖縄尚学の優勝は番狂わせだった？ 証言「沖縄尚学にあって、県岐阜商になかった“バント”」公立校の敗因 

「センバツも夏も、正直なところ開会式でビビりました。（強豪校選手の）体が大きくて。ただいつも比嘉先生から言われていたので。沖縄という島の高校が全国で結果を残すのは簡単なことじゃないと」

　それに、と嶺井が続ける。

「昨秋、比嘉（公也）先生から選手全体にLINEが届いたんです。今年は本気で全国制覇を目指している、と。簡単じゃないけど自分たちならできる。先生のメッセージは僕たちに伝わっていました。比嘉先生を信じて本当によかったです」

敗因は“投手層”なのか？

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　話を県岐阜商に戻す。準決勝で敗退した直後に、選手から得られた証言をまとめるとこうなる。超強豪校を相手にしても十分に通用した点、足りなかったと感じた点。

「打撃は十分やれると思いました。実際スイングの速さも負けてなかった。（秘訣は）フリー打撃だと思います。打つ場所を5箇所作って、1ゲージ目10球、2ゲージ目10球、3ゲージ目10球……と5ゲージ目まで続ける。それを4周やる日もありました。1球1球を大切に打つ。その意識で1年生のときから取り組んだ、積み重ねの結果だと思います」（背番号7・宮川鉄平）

今夏のベストゲームに挙げられる「横浜vs県岐阜商」。優勝候補を公立校が破る波乱を起こした　©Hideki Sugiyama

「ベンチの明るさ、チームメイトの仲の良さ、そういう部分は負けないかなと思います。ただ投手がエースの柴田（蒼亮）頼みになってしまった。自分がピッチャーだから余計そう思うんですけど、（投手層は）敗因としてあります」（背番号11・和田聖也）

　宮川が言うように、打撃は強豪相手にも十二分に通じるところを見せた。白眉は準々決勝だ。6安打の横浜に対して県岐阜商は16安打。球を打つ力という点で、明らかに横浜を凌駕していた。一方で足りなかった部分について、和田だけでなく、宮川も、横浜戦で先発して5回を無失点に抑えた渡辺大雅も、投手のレベルを挙げた。ならばやはり、敗因は投手層なのか。

バント成功数「6vs2」

　県岐阜商でもう一人、話を聞きたい人物がいた。今夏、1年生で唯一ベンチ入りを果たした丹羽駿太である。数少ない県外出身選手であり、地元の岐阜新聞記者が「野球IQが高い」と評していたからだ。加えて言語化能力が高い選手。横浜戦後に話をしたときに私もそう感じていた。

　敗因を尋ねると、丹羽は確信めいた口調で言った。

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