甲子園の風BACK NUMBER
「ピッチャーをやりたい」不登校球児を変えた元プロ監督…廃部から4年、函館の田舎町から“部員4人”と目指す甲子園「吉田監督は怒鳴ったりしない」
posted2025/08/27 11:22
部員4人と森高校野球部を復活させた吉田雄人監督(30歳)
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Noriko Yonemushi
引き続き、北海道・森高校野球部を取材したレポートをお届けします。現役引退して7年、廃部となっていた野球部を復活させた元オリックス吉田雄人(30歳)。部員4人の素顔と日常に迫った。【NumberWebオリジナル特集 全4回の3回目/第4回へ】
北海道に戻り、母校・北照高に週に一度コーチとして通い始めると、「高校野球の指導者になりたい」というかつての夢が再燃した。
「やっぱり、楽しくて(笑)。自分でもわかっていたんです。高校野球に戻ったら、そうなるって。ジムの仕事よりもそっちを優先してしまうようになって、『やっぱり俺はこれをやりたいんだな』と再認識させられました。
教えるのが楽しかったし、高校生の吸収力がすごくて。1週間経って行くと、別人のように変わっているんです。それって本当にやりがいを感じるし、みんないい子たちばかりで、慕ってくれて。高校野球にどう関わっていこうかと考え始めました」
ADVERTISEMENT
当初はそのまま北照高の常勤コーチになることを考えたが、教員ではないことがネックになった。
「それに、野球指導をする中で時々(北照高監督の)上林先生と食い違う部分がありました。そういう時に先生は、僕が教え子で、プロまで行った経験もあるので気を遣ってくれた。それがすごく申し訳なかったし、自分が入ることは北照にとってベストじゃない気がして、悩みました」
そこで、吉田の郷里である森町に一つだけ道立の高校があることを思い出した。
「『森高校あるやん』ってことで、地元の人に連絡を取ったら、『もう野球部ないよ』と言われて」
だが、そこで諦めなかった。

