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核心にシュートを!BACK NUMBER
「なぜヒーローのタナカに指摘を?」英国人記者の質問にリーズ監督は…“乱入ファンが肩組み”田中碧26歳の課題「アーセナル戦も厳しさはあるが」
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byRobbie Jay Barratt - AMA/Getty Images
posted2025/08/23 11:03
田中碧とリーズのファルケ監督。コミュニケーションを取る様子から信頼の高さを感じ取れる
実際、昨シーズンの終盤に差し掛かる前までの田中はゴールが決まったあとも、どちらかというと冷静でクールに見えるゴールパフォーマンス――たとえばジュード・べリンガムのように――を見せてきた。日本の一部のファンから「ワオンガム」と言われるのはそれゆえだ。だが、今の田中がその種の感情表現からの進化を図ろうとしているのは、開幕戦の決勝ゴール後のセレブレーションを振り返れば自明だろう。
8月23日、日本時間の深夜25時半。田中は2試合目を迎える。アウェーゲーム、ロンドンの雄アーセナルとの一戦に挑む。
課題はある。
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田中はプレシーズンから素晴らしいプレーをして、マンチェスター・ユナイテッド相手にも、今となってはエバートン相手の開幕戦勝利を予感させるような戦いを見せていた。
ただ唯一、田中のプレーで気がかりだったのが、コーナーキックの守備である。ゴールエリアの少し外で待ち構える役目を担うことが多いが、ACミラン戦では、目の前に飛び込んできた相手にやすやすヘディングシュートを許してしまった。
今回対戦するアーセナルはコーナーキックを得意としており、最近3シーズン連続でCKからの得点がもっとも多いチームだ。ミラン戦のような守備では、餌食になる。果たして、田中はプレミア仕様の守備を見せられるだろうか。「たかがセットプレー」で片付けられないような厳しさが、そこには広がっている。ただ、その厳しさこそが、努力の虫である田中が求めていたものであることを忘れてはならない。
BBCが「最もバーゲン価格だった」と認める能力
今年1月――。第1回でも触れた英公共放送『BBC』によって、「リーズの『歴史上で』移籍金が最もバーゲン価格だった選手の一人」と田中は評された。
これからはリーズの「歴史上で」もっとも重要な外国籍選手、もっとも重要なセンターMF、そして、その先には……。サポーターが夢をふくらませていけそうな未来が、目の前には用意されている。〈第1回からつづく〉

