「広陵とも試合したかったですが」「横浜に負けて光栄」“無念の不戦勝”津田学園…さわやかに甲子園を去る「見ている人にありがとうと」 

「相手がいないと試合はできません。自分たちは相手へのリスペクトを忘れずにやってきました。不戦勝を経験したことで仲間や相手チーム、応援してくれる人たちや関係者の方々に支えられていると改めて感じました」

　恵土主将も思いは同じ。試合後は「色んな方々のおかげで試合ができています。両親、チームメート、応援してくれた方々、身近な人たちからお礼を伝えたいと思います」と感謝した。

　佐川監督は不戦勝によって日程が空くことに当初は不安があったという。選手の気持ちが切れてしまわないよう、練習場所への移動時間や夕食前の時間を使ってミーティングを重ねた。その内容は野球にとどまらず、時間の使い方や生活の仕方にも及んだ。中でも、重点を置いた話があった。

津田学園の佐川監督（右から2人目）　©JIJI PRESS

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「私たちが野球をできているのは当たり前ではないということを一番に伝えました。宿泊しているホテルの方々やスタンドに駆けつけてくれた大応援団。皆さんの気持ちに応えるには、一生懸命にプレーする姿を見せること。勝ち負けが全てではありません。負けたとしても、見ている人に『ありがとう』と言ってもらえる野球をしようと繰り返してきました」

胸を張って三重に帰れる試合ができました

　指揮官のメッセージ通り、津田学園の選手は、ひたむきなプレーと明るい表情で周囲への感謝を表した。佐川監督も「選手たちが頑張ってきた成果を出してくれました。みんな笑顔で終わってくれたので、やり切った充実感があると思っています。胸を張って三重県に帰れる試合ができました」と満足する内容だった。

　試合は自分たちのチームだけではできない。試合ができるのは多くの人たちの協力があるから。その当たり前を改めて実感した津田学園は、勝ち負けを超えた価値を――さわやかに聖地で体現した。〈甲子園特集：つづく〉