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野ボール横丁BACK NUMBER
仙台育英の監督“テレビに映らない”敗戦後の姿「采配ミスでした」須江航の“プラン通りだった”沖縄尚学とタイブレーク「人間は失敗からしか成長できない」
posted2025/08/18 17:01
仙台育英を率いる須江航監督(42歳)
text by

中村計Kei Nakamura
photograph by
AFLO
今夏の甲子園、3回戦までで“ベストゲーム”との呼び声が高い仙台育英と沖縄尚学の一戦。「タイブレークは別の競技。だからこそ持ち込みたい」。仙台育英・須江航監督(42歳)に試合前日から密着した現地記者・中村計氏がレポートする。【全2回の2回目/第1回も公開中】
終盤の展開も須江航が望んでいた通りになった。仙台育英は7回に再び同点とされ、勝負は3−3のままタイブレークにもつれ込む。
「もう一度、スクイズを…」一つの後悔
仙台育英は10回表を0点に防ぎ、その裏、1アウト満塁のチャンスをつくる。勝利は目前だった。しかし、守備固めで起用されていた7番・中岡有飛が放ったライナーが一塁手のミットにすっぽりと収まり、一塁走者が戻り切れずにゲッツー。スコアボードに「0」が点る。
須江はこう悔やんだ。
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「追い込まれてから、もう一度、スクイズをやればよかったですね……」
中岡は2ボールからスクイズを敢行したものの、ファウルになっていた。
「中岡は三振がないバッターなので、当てたら(前進守備を敷いていた内野の間を)抜けるんじゃないかな、と。采配ミスでしたね」
試合は11回に進む。そして、ここで須江が再三、懸念していたミスがまたしても出てしまう。ショートの悪送球で1失点。それで気落ちしたのかエースの吉川陽大がレフトオーバーの三塁打を打たれ、さらに1失点。その裏、仙台育英はまたしても0点に抑え込まれ、ゲームセットのサイレンが響いた。
タイブレークの末の3−5。
ほぼ須江が思い描いた通りのゲームだった。展開も、そして敗因も。
試合後の須江航の姿
試合後、須江は「はい、はい、はい。お疲れ様でしたー」と勝ったとき以上に晴れ晴れとした表情で報道陣の前に現れた。

