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甲子園の風BACK NUMBER
京都国際アルプスに“たった1人”の吹奏楽部員「米津玄師の『Lemon』で練習する中学生」甲子園で聞いた“野球応援への本音”「もったいない!」
text by

梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byJIJI PRESS
posted2025/08/16 06:01
昨夏の甲子園を優勝した京都国際。今夏は京都産業大学附属高の吹奏楽部が友情応援に駆けつけている
「韓国は、高校野球があまり盛んではないので、こういった文化はありません。みんなで演奏して選手を応援するというのは、とてもよい日本の文化だと思います」(パク君)
京都国際中・高は全校生徒自体が164人と少人数だが、少しずつ楽器を揃え、部員の確保から動き始めているという吹奏楽同好会。「5年以内くらいには、自分たちで応援できるようになりたい」と、吹奏楽同好会顧問の梅本昌登氏は言う。
「米津玄師さんの『Lemon』で練習」
「野球応援を活動の中心にしたいと考えているので、応援に欠かせないトランペットやトロンボーンなどの金管楽器を中心に、まずは部員を増やしたいですね」(梅本氏)
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1人部員のパク君は、5月から楽器を始めた初心者。普段はどのような練習をしているのだろうか。
「まずは音楽を好きになってもらいたいので、彼の好きな曲を私と一緒に練習しています。『何の曲がいい?』と聞いたら、米津玄師さんの『Lemon』がいいと言うので、YouTubeで彼のミュージックビデオを観ながら一緒に吹いています」(梅本氏)
吹奏楽部出身の筆者は、「それはそれで、楽しそうな練習だなあ……」と思いながら、音楽の素晴らしさや奏でる喜びを教える梅本氏の愛情と熱意を感じた。
野球応援は必要? 現場の声
前出の京都外大西吹奏楽部顧問・島良輔氏も、「やらないなんて、もったいない!」と、野球応援の素晴らしさを熱く語る。
「自分自身もコンクールやさまざまな演奏会も経験してきましたが、野球応援は教育的にとてもメリットが大きいと感じています。コンクールは自分たちのための演奏ですが、本来、音楽は誰かのために演奏するもの。社会に出て生きていくためにも応援は大事ですし、何より楽しい。そしてみんな友達になれる。応援にあまり興味がない方もいるとは思いますが、こんな素晴らしいことをやらないなんて、もったいない! 機会があれば、ぜひやってみることをおすすめします」(島氏)
グラウンドの選手たちとともに戦っているアルプススタンドの吹奏楽部。友情応援の裏側にも想いを馳せて、残りの甲子園を楽しんではいかがだろうか。

