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甲子園の風BACK NUMBER
豊橋中央で話題…じつは東邦に“違う高校”も友情応援を依頼していた「金足農業は農業学科ある学校に」「沖縄尚学は?」甲子園アルプス応援のウラ側
text by

梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2025/08/16 06:00
甲子園の沖縄代表・沖縄尚学を応援する市立尼崎吹奏楽部
「実は、試合の日程によっては吹奏楽コンクールと重なる可能性がありました。我が校としては吹奏楽ゼロは避けたいため、あらかじめ友情応援の依頼をすることに。8月3日は、組み合わせ抽選の結果をドキドキしながら待っていました」(内田氏)
東邦に依頼も「すでに豊橋中央が…」
抽選結果は、8月12日の第2試合、岡山学芸館との対戦が決定。コンクールは8月8日のため、幸いにも重ならなかった。しかし、楽譜のやり取りや帽子の用意、バスの手配などさまざまなことがすでに進んでいる。さすがに「日程が重ならなかったので、やっぱり来てもらわなくてけっこうです」というわけにはいかない。このような事情で、「ぜひ一緒にやりましょう!」と、2校による合同応援という展開になったのだ。
さらに言うと、松商学園が最初に友情応援を依頼したのは東邦のマーチングバンド部だった。両校の校長同士が知り合いということもあり、東邦に相談。ところが、東邦は豊橋中央の応援をすることがすでに決まっており、さすがに2校の応援を引き受けるのは難しく、昨年のセンバツで京都外大西の友情応援を担当したマーチングバンド部顧問・白谷峰人氏が、同校を紹介したのだ。
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京都外大西吹奏楽部顧問の島良輔氏は、当時のことをこのように振り返る。
「昨年は吹奏楽部の人数が少なく、昔からの知り合いである白谷先生に相談し、マーチングバンド部に応援を引き受けていただきました。彼らの演奏は素晴らしく、すべて暗譜でキビキビと演奏する姿に大きな影響を受けました。うちの部員もようやく20人を超え、応援演奏もできる規模に。教育的にもメリットの大きい野球応援を吹奏楽部の活動の柱としています」(島良輔氏)
両校の生徒が一緒に撮影も…
友情応援に目覚めた島氏は、「スケジュールの都合がつく限り、依頼があれば喜んで引き受ける」といい、京都外大西吹奏楽部部長の松本暖都君(3年)も、野球応援の醍醐味についてこのように話す。
「自分がメインではなく、誰かを応援する、人のためにがんばるということはなかなかできないこと。音楽を通して人のために何かをするという経験を積むことで、社会に出てからも人のために何かできる人材になりたいと思います』(松本君)
5回終了後のグラウンド整備やクーリングタイムなどの休憩中には、両校の生徒が一緒に写真を撮っている姿もそこかしこで見受けられた。
「お互いの生徒たちが楽しそうに交流したり、仲良くしゃべっている姿を見るのもうれしいですね」(島氏)
昨夏の甲子園で優勝した京都国際も他校の応援が駆けつけていた。そのなかで1人、京都国際の生徒、それも中学生が混じってホルンを吹く姿があった――。彼に話を聞いた。
〈つづく〉

