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豊橋中央で話題…じつは東邦に“違う高校”も友情応援を依頼していた「金足農業は農業学科ある学校に」「沖縄尚学は?」甲子園アルプス応援のウラ側 

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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posted2025/08/16 06:00

豊橋中央で話題…じつは東邦に“違う高校”も友情応援を依頼していた「金足農業は農業学科ある学校に」「沖縄尚学は?」甲子園アルプス応援のウラ側<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

甲子園の沖縄代表・沖縄尚学を応援する市立尼崎吹奏楽部

 創成館は演奏会間近だったため、県大会決勝で戦った九州文化学園吹奏楽部に応援を依頼。顧問同士交流があり、快く引き受けてくれた。金足農業は、農業に関する学科があり日頃から接点のある有馬(兵庫)へ依頼した。沖縄尚学は市立尼崎吹奏楽部が担当。同校の吹奏楽部顧問の羽地靖隆氏が沖縄出身ということもあり、40年以上、沖縄代表校の友情応援を引き受けている。津田学園は、中高合わせて40人の吹奏楽部員に加えて、近隣の中学3校の吹奏楽部70人に助っ人を依頼。高校生に負けないフレッシュな音色で勝利を後押しした。

 このように「吹奏楽部や野球部の監督同士が知り合い」「校長が日頃から付き合いがある」といった事情から友情応援を依頼するケースが多いが、「陸上部の顧問同士が知り合い」「空手部の顧問から頼まれた」といったパターンも。そのパイプがいくら細いものだとしても、どうにかしてツテを探す。どうしてもツテがない場合は、「甲子園に近い学校の代表電話に突然校長が電話をかけて交渉」という例もある。

“知り合いの知り合い”が応援も…

 大人の助っ人が駆けつけることも多く、吹奏楽部顧問が大学時代の仲間や社会人吹奏楽団に呼びかけ、彼らがさらに知人に声をかけ、「友達の友達は皆友達」状態で、知り合いの知り合いの知り合い、つまりまったく知らない人たちが多数アルプスに集結。試合開始15分前に配られた『We will rock you』や『さくらんぼ』の譜面を必死に追いながら指を動かし、ファウルなのに先走ってヒットのテーマを吹いてしまうなど、右往左往しながらも恐る恐る演奏。最初はぎこちなかった音色が、3回の攻撃あたりからようやくこなれてくる……といったケースも少なくない。というか、けっこうある。出場校に縁がなく、このように、名前も知らない人たちが「甲子園で吹ける機会なんてない!」と喜んで手伝いに来てくれるのも“アルプススタンドあるある”だ。

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 大会7日目に出場した松商学園は、自校の吹奏楽部64人に加え、京都外大西の吹奏楽部22人が友情応援に駆けつけた。そもそも、吹奏楽部が64人もいれば、野球応援としては十分な人数。少子化で部員減少に悩む吹奏楽部が多い現在、むしろ多いくらいだ。それなのに、なぜ友情応援を依頼したのだろうか。松商学園の顧問、内田凌太氏に聞いた。

【次ページ】 東邦に依頼も「すでに豊橋中央が…」

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