桑田・清原のPLを倒して茨城勢初優勝から41年甲子園なし…“世紀の番狂わせ”の公立校・取手二高は「今、2年生の野球部員は2人だけ」 

「ベンチが後ろに下がった分、ちょっとスッキリしたぐらいですかね。桑田がここに来た時は『何でこんなチームに負けたんだろうか』と思ったんじゃないですか。木内のじいさんもインタビューでそんな話をしていました」

現在もあまり変わっていないという取手二のグラウンド　©Katsuharu Uchida

「じいさん」が去ってから……

　教え子たちは、偉大な恩師のことを「じいさん」と親しみを込めて呼ぶ。木内幸男監督は取手二、常総学院（茨城）を率い、春夏3度の全国制覇、歴代7位の甲子園通算40勝を挙げた名将だ。

　しかし取手二は、木内が1984年夏の日本一直後に常総学院へ移ってから、甲子園に出場していない。今夏の茨城大会は常磐大に0対6で2回戦敗退。創立100周年のメモリアルイヤーに花を添えることはできなかった。かつての名門は、常総学院とは対照的にその勢いを失い、気づけば41年の歳月が流れた。

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　夏5度目の指揮を執った下田は「100周年までには何とかしたかったんですけど、間に合いませんでした」と悔しさをにじませる。高校卒業後、社会人の名門・日産自動車（2009年休部、今年活動再開）で野球を学んだ男からすれば物足りなさは残るが、まずはチームの現状を受け入れるところからがスタートだった。

今の取手二に野球をやりにくる子はいない

現在の取手二グラウンドのスコアボード。「準備　実行　後始末」　©Katsuharu Uchida

「新チームは2年生が2人で1年生が12人の計14人で秋の大会に臨みます。今の茨城の現状でいうと、野球の上手い中学生は私学に進むので、取手二に野球をやりにくる子はほぼいません。入学後に野球をやろうかというケースも多いですね。140キロを投げる投手なんて見たこともありませんし、打てないのも当然です。本当はそれではいけないんでしょうけど、今は昔と違って、できないことを分かってあげないといけません」

　2023年秋の地区予選では試合中に3人が負傷し離脱。選手が9人に満たなくなったため、没収試合を余儀なくされた。少子化の影響もあり、生徒数は40年前と比べほぼ半減。新入部員の数は正直読めないのが現状だ。

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