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「近大にものすごいバッターがおる」入学前の佐藤輝明を岡田彰布が見ていた…恩師が明かす阪神との奇縁「とんでもない三振もしてたけど」 

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喜瀬雅則

喜瀬雅則Masanori Kise

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photograph byJIJI PRESS

posted2025/08/31 11:04

「近大にものすごいバッターがおる」入学前の佐藤輝明を岡田彰布が見ていた…恩師が明かす阪神との奇縁「とんでもない三振もしてたけど」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

近大から阪神にドラフト1位指名され会見する佐藤と田中監督。じつは佐藤と阪神には不思議な縁が重なっていた

 2年になると、日米大学野球の日本代表に選出され、同年秋には関西学生リーグでMVPを獲得。4年秋には通算14本塁打で、リーグ通算最多本塁打記録を更新し、2度目のリーグMVP。ただ、プロ5年目の2025年でも、8月30日の119試合終了時点で、セ・リーグで巨人のトレイ・キャベッジとふたりだけ、大台を突破しての140三振はリーグワースト。プロ5年目での通算三振数が、この時点で「722」となっている。ちなみに、オリックス時代のイチローは通算9年間、951試合で333三振だから、佐藤のその“高率ぶり”が分かるだろう。

「どんなボールを振っとるんや!」

 田中も、佐藤の「三振の多さ」には、少々悩まされたのだという。

「大学でも、1年目からずっと使ったんですけど、とんでもない三振が多いんですよ。ものすごい高めの球を振るわ、ワンバウンドは振るわ……。ベンチから『何振っとるんや』『どんなボールを振っとるんや』って、よう怒鳴りました。そやけど、プロに行かさんとあかんじゃないですか。それにはやっぱり経験が大切。巨人の岡本和真だって当時の高橋由伸監督がめちゃくちゃ我慢したと思うんです。あれが基礎になってブレークしたんでしょうから」

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 佐藤も、だから、三振を恐れての“こぢんまりしたスイング”にならないよう、田中は怒鳴りながらも、その持ち味を失わせなかった。「個人練習は、よくやっていましたね」。ウエートトレでパワーをつけ、室内練習場で「よく“置きティー”で打っていましたね」と田中は証言する。練習に後輩が付き合い、手伝ってくれたときには、近所のラーメン屋に連れ出して、ごちそうするという“先輩らしさ”も発揮していたという。

佐藤は、優しいから……

「優しいんですよ、佐藤は。だから、勝負根性はないです」

 その田中の“教え子評”は、その鷹揚とした普段の雰囲気にも感じられる。だから、口さがない阪神ファンたちですら、ずっと心配していたのだ。

 岡田監督と佐藤は、性格が合わへんから、佐藤はしんどいんとちゃうか——。

〈全4回の3回目/4回目につづく

#4に続く
阪神・佐藤輝明が「プロ5年目で初めてLINEにすぐレスしてきた」大学恩師が驚いた“好調の自己分析”とは…「フォームの理解が深まった」!?
この連載の一覧を見る(#1〜4)

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