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「近大にものすごいバッターがおる」入学前の佐藤輝明を岡田彰布が見ていた…恩師が明かす阪神との奇縁「とんでもない三振もしてたけど」
posted2025/08/31 11:04
近大から阪神にドラフト1位指名され会見する佐藤と田中監督。じつは佐藤と阪神には不思議な縁が重なっていた
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喜瀬雅則Masanori Kise
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JIJI PRESS
黒田博樹の上宮高時代は3番手投手。慕っていた先輩が進学した専修大に行って、その素質が開花した。ロサンゼルス・ドジャース、ニューヨーク・ヤンキースという超名門球団で活躍を続け、メジャー7年間で79勝。日米通算20年間、203勝を挙げた右腕は、メジャーからの大型契約を袖にしてまで「最後は広島で」と現役最後の2年間は古巣へ復帰。その男気に誰もが心を打たれ、高校時代の恩師、田中秀昌も「僕は、黒田の生き様が好きなんです」と絶賛する。
薮田安彦も、社会人の新日鉄広畑で実績を積んだ後にロッテへ。2007年には4勝36ホールドで最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得し、08年から2年間、メジャー挑戦。マイナーでのプレーも経験しながらも、カンザスシティ・ロイヤルズで計43試合に登板した。
黒田は全然ピンとこんかった
「黒田なんか、全然ピンとこんかった。キャプテンだった同級生の筒井壮とかにも聞いてもらったら分かりますよ」
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投手の将来性を判断するのは難しい、というその“持論”の裏を返せば、打者・佐藤輝明の素材の良さは、すぐに見抜けたという強調でもある。
「佐藤なんか、あれだけの体がある。今、体重は95キロ? 大学に入ったときは体重80キロくらいかな。でも、日本人で大きい選手っていったら、たいがい、打つだけじゃないですか。ああいう打てて、守れて、走れるのは初めて見ました。スケールが大きいんです。センスもあるから、高校の時にキャッチャーもやって、内野、外野、全部守っていたらしいんです」
4年後のドラフト1位のために
4年後のドラフト1位を目指しての英才教育で、近大では1年春から田中は佐藤をレギュラーに抜擢するのだが、その器用さがあるから、開幕戦は「5番・レフト」だった。
打力優先で、捕手では使わないと決めていた。内野には、当時主将で、社会人の大阪ガスでのプレーを経て、2019年のドラフト会議で楽天に1位指名された小深田大翔ら、力のあるレギュラー陣がいて、ポジションは埋まっていた。

