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「僕らは箕島を残せるんだろうか…」あの甲子園連覇の“名門公立校”で定員割れ、衝撃の倍率0.74「本当にきついです…」箕島野球部監督の告白

posted2025/08/18 11:21

 
「僕らは箕島を残せるんだろうか…」あの甲子園連覇の“名門公立校”で定員割れ、衝撃の倍率0.74「本当にきついです…」箕島野球部監督の告白<Number Web> photograph by NumberWeb

和歌山県立箕島高校のグラウンド。春夏合わせて4回甲子園優勝している

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曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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人口2万5000人ほどの和歌山県有田市。ここに、かつて日本で一番強い野球部があった。10年ほど前は100人近くいた野球部員が、一時12人まで減った。最後に甲子園に出たのは13年前……名門・箕島高校はなぜ勝てなくなったのか?【全5回の2回目/1回目5回目公開中】

◆◆◆

「きついです…」一時12人まで減った

「きついです。本当にきついです」

 かつて甲子園を席巻した箕島高校野球部現監督の北畑清誠は、絞り出すようにそうつぶやいた。

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 何が「きつい」のか。答えは明白だった。部員の数が減少の一途を辿っていることだ。最後に甲子園に出場した2013年の夏、野球部には50人弱の部員が在籍していた。当時、箕島を率いていたのは名将・尾藤公の息子である尾藤強。甲子園出場の効果もあり、そこからの3年間は毎年30人ほどが入部した。2016年の夏には、約90人の部員を擁して和歌山大会の決勝まで進んでいる。

 だが、この年を境に部員数は減少していく。2019年に尾藤強が監督を退任して以降、その傾向に拍車がかかる。50人から40人、30人と右肩下がりを続けた部員数は、2023年の秋には12人まで減っていた。その後、現2年生が入部して持ち直したものの、今年は夏の県大会前の時点で23人。8人いる3年生が引退すると、2年生11人、1年生4人の15人になる。この人数では紅白戦を行うのも難しい。そればかりか来年の入部者数次第では、現2年生の引退後に単独チームを組むことができなくなる懸念もある。

 単に野球部の人数が減っているだけではない。箕島高校全体の生徒数の減少も深刻だ。2014年に240人いた新入生の数は、11年後の2025年には89人まで落ち込んだ。定員は普通科系80人、専門学科系80人の計160人。教職に就きながら野球部監督を務める北畑が、箕島の苦境を説明する。

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