「エンジョイ・ベースボール」は“高校野球を変えたのか”問題　あの“旋風”から2年…甲子園は出られずとも関係者が「慶応はスゴい」と語るワケは？  

　確かにあの夏の慶応高は、印象的な勝ちっぷりの試合が続いた。

　初戦・北陸高戦では、前半の5イニングで9点を奪って早々に試合を決定づけ、続く広陵高戦はタイブレークの一挙3得点で勝負を決めた。準々決勝では、沖縄尚学高を相手に一気に6点を奪って逆転勝ち。土浦日大高を完封して進出した決勝戦でも、一気に5点を奪う集中攻撃で仙台育英高を破って、「旗」をつかんでいる。

　当時から、あの自主自律を中心としたエンジョイ・ベースボールというスタイルは「慶応でなければできない」という声は多く聞かれていた。だが、今振り返ってみると「慶応」ではなく、「あの夏の慶応」だったからできたことなのかもしれない。

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　その証拠に、慶応高的な「エンジョイ・ベースボール」はたいへんな話題にはなったが、ではそののち一気に高校球界に広がったのかといえば、決してそうでもないように見える。丸刈りじゃない球児たちが全国でぐっと増えてきたのは、その影響なのかもしれないが「エンジョイ・ベースボール」の理念とは、そう一朝一夕に導入できるほど単純で、わかりやすいものではないのだろう。

OBは「いまも間違いなく強いんです、塾高は」

　関係者に、慶応OBの方を見つけた。

「あのときの塾関係者の熱は、そりゃあ凄かったですから」

慶応高校の満員の応援席。その迫力も話題になった ©Naoya Sanuki

　母校を「塾」と呼ぶ慶応OBは少なくない。

「もう一度、アルプス（スタンド）で『若き血』を歌いたい！　みたいなうねりは、今でもありますよ。でもね、あのあと塾高が甲子園に出ていないって言っても、神奈川では毎年トップレベルでしょ。夏の神奈川で8強以上なら、どこが甲子園に出てもおかしくない、聖地でも勝てるチームばっかりですよ。そのあたりに毎年いるんだから、間違いなく強いんですよ、塾高は」

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