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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「慶応って、あれから見ないね」…高校野球“エンジョイ・ベースボール”は敗れたのか? 甲子園での“慶応旋風”から2年…球界に吹いた新風のいま
posted2025/08/12 11:01
2023年、エンジョイ・ベースボールをスローガンに夏の甲子園を制した慶応高校。一方で、その後は全国の舞台に届かずにいる
text by

安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Naoya Sanuki
今年も夏の甲子園が開幕した。一方で、そこには今年も2年前に甲子園で旋風を巻き起こした「あの高校」の名前はなかった。あの年「エンジョイ・ベースボール」の方針のもと、それまでの高校野球文化に吹き込まれた新風はいま、現場でどう受け入れられているのだろうか。《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》
夏の甲子園大会、たけなわである。
5日に開幕した頃は、体が持たないんじゃないか……と本気で心配したほどの炎暑だったが、雨が降って試合日程が変わった7日あたりから、まあまあ「組める」ぐらいの暑さになってきたようだ。
そんな中、8日には突然のどしゃ降りの中断を挟んで、横浜高(神奈川)が敦賀気比高(福井)の追撃を阻む。言わずと知れた、優勝候補の一角である。
記者の一言「そういえば、慶応って…」
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と、記者席で近くにいた記者のひとりごとのようなつぶやきが気になった。
「そういえば、慶応(高校)って、あれ以来、出てないですよねぇ……センバツにもか。神奈川だと、(東海大)相模か横浜ですもんね、たいてい」
妙に残ったのが、その後のひと言だった。
「エンジョイ・ベースボール、敗れたり……か」
2023年夏、慶応高は夏の甲子園大会で、107年ぶりの優勝を飾った。
その年の慶応高は、春のセンバツ大会にも出場して、「甲子園」より過酷とも評される夏の神奈川大会でも有力優勝候補と目されながら、特にそれを重荷にするような気配もなく快進撃を続けて勝ち進んだ。
相手5チームをコールドスコアか、それに近いスコアで粉砕。

